無線LANを使って、放送型のコンテンツ配信をする仕組みとして、IEEE802.11bcという標準化を進めている。IEEEでは、Draft2.0がPublishされる段階まで進んできた。
ということで、社会実装のためのデモなども含めての検討会を行なっているのだが、まさかの盲点で法規制的な問題が出てきた。
この11bcは、端末が基地局にリンクアップしないで、基地局から送信されるコンテンツを端末が再生するという、放送型という方式になる。つまり、Wi-Fiの端末は、ラジオのようなもので、極端な話一切の電波を発信しない。
こうなると、受信したくない放送コンテンツを受け取ってしまうことがあるので、実際には暗号化されていて、その暗号を解くための鍵を事前に配布されていることが前提になっている。でっ、この鍵の配布を実際には無線LANで行う場合には、その時に端末は普通に送信も受信もするけど、他の方法で鍵を配布したった構わない。
そんな規格をいよいよ社会実装という段階になって、日本では使えないじゃん問題が出てきた。日本の電波法の設備規則では、無線LAN(小電力データ通信システム)は、"通信方式は、単向通信方式、単信方式、半複信方式又は複信方式であること”と定められているのだ。そして、この通信方式というのは、施行規則で定められているのだが、そこには、「同報通信方式」というのがある。これは、"特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。"となっている。これは、まさに11bcが行う方式なのだが、現在の無線LANでは、「同報通信方式」が使えないのだ。つまり、11bcを使えるようにするには、設備規則の改定がいるかもしれないというわけだ。
それにしても、こういう設備規則の縛りは、アメリカのFCCにはないんだよね。そんなわけで、この辺りの国際的な規則の確認しないとねというわけだ。
今日は、ワーケーションで802の標準化でご一緒している仲間と、蟹かにツアーしていて、この会議はホテルから参加。夜まで会議だったのだけど、そんな疲れは全部吹っ飛ぶくらいの蟹で、よるはお腹いっぱいだった。