Interimの中日である水曜日の夜は、恒例のソーシャル。今回は、スコールのためにホテルの中で、ベトナム料理屋など豊富なコーナーが展開されて、民族音楽の演奏や獅子舞などもあって、なかなかに盛況だった。とはいえ、いちどもホテル以外に出かけてないので、Grabで夜は街中に出かけてみた。
とりあえず、ダウンタウンのランドマークである大聖堂まで移動し、そこからナイトマーケット方面に歩いて散策。ハノイのTa Hien通りは、道の両側Iにあるたくさんの飲食店の椅子とテーブルが道をほとんどを塞いでいて、もう半端なく混沌としている。Hồ Hoàn Kiếm側から入って、なんとかメインのブロックを通り抜けたあと、もういちど迂回して戻って、途中の店でビールを飲むことにした。
店に入って、椅子に座るやいなや、ビールメーカーのキャンペーンコスチュームの女の子達からの営業攻勢がはじまった。どうも、着ているコスチュームの会社のビールを、それぞれが専門で受け持っているようで、とにかく自分の扱うビールを薦めまくってくる。しかし、わざわざここまできてカールスバーグやハイネケンを飲む気はしないので、ハノイのローカルビールを、ハノイビールのコスチュームのお姉さんにお願いする。このハノイビールのお姉さんは、他の子達より少し歳上のようで、なかなかに睨みを効かして、うまく注文を攫った感があった。
こうしてビールの注文が決まったら、蜘蛛の子を散らすみたいに、女の子はみんな退散して、店の外のテーブルや新しいお客さんへの営業攻勢に戻っていった。とりあえず、ビールを飲みながら、みんなで店の様子を観察した結果、店はあくまで場所と冷蔵庫と在庫というかビールを管理しているだけで、ビールのセールスは、それぞの担当の女の子のコミッションセールスのようだと判った。そんなわけで、近くを通る時に自分の担当のビールを、しっかりとまたオファーしてくるけど、そんなにしつこくない。そして、仲間の一人が席の後ろに積んであるサイゴンという名前のビールが欲しいと女の子に声をかけたら、そのビールの担当はいなくて、誰にもコミッションがないのか、こちらの言うことはまったく無視して、とにかく自分の担当のビールを進めてくる。しかも、現物を冷蔵から出してきて、テーブルに並べて、オファーしてくる。それでも、知人は妥協せずに、このビールが欲しいんだと言い切ったら、くだんの歳上なハノイビールのお姉さんが、ようやく渋々とサイゴンビールを出してきた。勝手な想像だけど、自分の担当じゃないビールを売った場合にも、多少のキックバックはあるんだろう。
というわけで、一時間ちょっとくらい、こんな店の仕組みを肴に楽しんで、お会計をとなった。会計は、店の入り口にずっと座って伝票を書いてるおじさんが伝票をくれる。中身は、純粋にメニューに書かれてるビール代だけで、テーブルチャージとかサービス料金がない。四人でビール6本、食べ物なしで、165,000VNDだから、日本円にして1,000円もしないので、なんだかお店に申し訳ないかも。
それにしても、商魂たくましいビール売りのお姉さん達は、四つ辻の周りの店が全部テリトリーのようで、とにかくあっちこっちで売りまくるのだが、彼女達は個別にお金を受け取らず、冷蔵庫からビールを出してきてテーブルに置くまでがお仕事。それでも、ちゃんとお店の帳場のおじさんには、誰が何をどのテーブルにどれだけ売ったのかはちゃんと伝わっているわけだ。しかも、なかには他の子の担当のハンドリングでのバックコミッションまである複雑な課金システムは、どうやって回しているんだろうと思っていた。
そんなわけで、よくよく観察してみたら、なんと監視カメラと顔認証、ビール瓶の形状とラベル認識システムがあって、AIで自動的に決算をして、各売り子には電子マネーでコミッションが支払われるというシステムが稼働している。
なーんてことは、ないようだけど、カオスだった。