参加中のIEEE802.11の中間会合では、HEW(High Efficency Wireless LAN) という新しいStudy Groupの一回目の会議が今日の午後にはじまった。これについては、虚構新聞を凌ぐ素晴らしい妄想記事が日本で話題になったようなので、急遽メディアが阻む国際技術競争力という投稿をした。
さて、その一回目の会議だが、仮チェアはオレンジの人で、初めてのチェアということもあり、WGチェアがまずはStudy Groupとは何かみたいな説明を自ら行なった。その後、Study Groupのチェア等のリーダーシップの選任方法について、米国のクォルコムから提案があったが、いきなりそこで意見が割れた。某新聞の記事じゃ、二十社が合意だそうだが、技術議論いぜんにどう進めるかも、まとまっていないわけだ。
さらに、そのあとインテルが期待する利用シーンの発表をしたけど、これも過去の資料を全部まとめたもので、あまりに網羅的で、具体的な話はなくて、残念ながら光回線並の速度の話しなんて、一言も無い。
つまりは、IEEE802.11からはじまって、11b-11a-11g-11n-11ac と進化してきた無線LANの次をどうすんだ論で、皆次が欲しいのだけど、じゃあ何すんだよというのが未だ明確じゃない訳だ。
当然ながら、単に無線の変復調方式に新しい技術を入れるだけじゃ駄目だろうし、最近の無線LANが携帯と連携する利用が急増していることからも、そういうネッワークやオペレーターの視点からもシステム的な検討もしないとねということで、いまのところ総論合意、各論無しな状況だったりする。
一方で、過去の規格との互換性で長年引っ張ってきた11bについて、そろそろ互換性の保証を切り捨てても良いよねという議論も、WGではでてきた。これは、Wi-Fi Allianceでも出てる話題で、こういうのも高効率化に向けた一つのアイデアだったりする。 この日記を見て、"無線LAN規格刷新、旧方式の11bの廃止を合意"なんて、記事が書かれると困るけど....
そういえば、このHEW-SGの設置は、3月の会合で合意したんだけど、それをプレス発表することについては、一悶着あった。 何も具体的なことが決まっていないのに、プレス発表なんて勇み足だという反対意見があり、その内容についての議論があった。それほど、公平性や透明性を重要にして、集団での国際協調をしているのに、そんなことを知らないガラパゴスの国での出来事は、現場の参加者にとって共通のネタとして話題になっている。
この辺りについては、いま映画になっている「リンカーン」の原作を読むと、議事運営、演説(プレゼン)、プレスリリース等に対する人々の感度が高いのは、昨日今日の話ではなく、建国の精神にまで遡る事が判る。
今日は、ホテル内のレストランで、サンセットディナー。 しかし、たかだがマーケットで20ドルしないワインが、レストランだと3倍になっちゃうのがなんだかなではある。
メニューになかったのだけど、チーズを頼んだらメインキッチンから調達してくれて、これはなかなか良かった。