仕事の関係で、監査法人の人などと、いろいろと話しをする機会が多い。 特に最近は、コンプライアンスや会社法の改正などもあり、この類の話には事欠かない。 監査を行う現場では、比較的若い会計士の人たちが多いのだが、彼らの多くは残念ながら会計士しか職務経験がない。 企業の会計価値を正しく判断していくためには、事業に対する知識はもちろん、税務や智財などに対する広範な知識が必要となる。 刑事裁判のように、疑わしきは被告人の利益にというような、前提がないのが会計監査の難しいところで、求められるのは実価値と簿価の差をいかに少なくするかである。 つまり、100% NOと言えないから資産価値として計上するというのも、100% Yesと言えないから資産価値を減損するというのも、両方とも誤った企業価値を第三者(株主等)に示してしまうという点では、等しく不適切である。 となると、諸々の判断はどうするかというと、合理的に説明責任を果たせるかであり、それには、数多くの事例に基づく経験則も必要になるのだろう。 残念ながら、若い現場の会計士達の多くは、事例を持ち合わせていないので、画一的なマニュアル化された判断に頼らざるを得ないことが多いのではないかと見受けられる。 そういう意味では、判例集ではないけれど、会計監査などのナレッジの蓄積と共有化というのは、これからも重要になるではないだろうか。