社外取締役を勤めている山梨県上野原市のCATV事業者では、出資者でもあり伝送路の貸し主でもある市の市長が先の選挙で、通信事業の見直しを訴える方になった。 そして、就任後に問題の通信事業について、広報やTVインタビューに応えてるのだが、選挙前の発言となんら変わるところが無い。 選挙前には、いろいろな事を反対目線で論じるのは仕方がないとして、就任後にもあまりに非常識というか見識の無いコメントをされているのをみると、いささか辟易としてきた。
まず、一つは地上波テレビジョンへの移行について、"国策だから国がなんとかしてくれるもので、地方が行うべき物ではない"という論旨だ。 国策というのは、なにもしない人に、国が措置としてなにかをしてくれる事ではない。 国は、今回の地デジ移行について、いくつかの施策を行っている。 例えば、低額所得者に対するTVチュナーの配布などは、TV受信をしたいという受益者に対する直接支援で、同様に共聴組合に対する改修の為の助成や対策事業を進める地方自治体に対する助成措置など、いろいろなプレイヤーに対して、相応な支援策を用意し、予算化し、実行している。 今回、上野原市が利用した合併特例債の対象事業に、地デジ対策が含まれているのも、このような国の施策(国策)の一つである。 こういう諸々の国策のなかで、直接波の受信環境の整備では、中継局などの整備を直接に行う事業があるが、この目的とすることは、放送圏における地デジ受信の整備である。 つまり、上野原市てば、HNK甲府の総合、教育、YBS、UTYという四局については、国民が自らアンテナなどを設置することで、視聴出来るように整備をしており、これがゴールの形態である。 東京波が受信出来るように環境を整える予定は、まったくない。 スカイタワーが出来れば、高さが東京タワーの倍あるから映るはずだという、超素人論を言う人がいるが、スカイタワーは東京広域圏をカバーエリアに設計したもので、上野原市はその中に含まれておらず、それを根拠にするのは、あまりに無責任である。 実際に、チルト角の設計もあるので、完全に設計対象外である。 つまり、国策を期待するというのならば、どの施策を期待するのか、その実現性があるのかを明確にすべきなのだが、この時期にきてもこんなことを唱っているのは、とても信じられない。
共聴組合の自主改修をするという方策も、自主チャンネル、行政チャンネルを放送にするには、送出設備が必要であるし、有テレの認可が必要であるなど、まったく論外である。