昨日に引き続き、上野原市の新市長の発言では、もう一つの大きな認識不足がある。 "自治体と言えども減価償却費が発生する"といのは、この事以外もふくめて、財務知識の無さが露見していて、とても危うく思われる。
原価償却費は、固定資産(建物、什器備品、伝送路)などの、経年変化による財産価値の毀損分を、財務諸表に反映し、正しい資産価値を示すために用いるものだ。 一般には、減価償却費の仕訳の相手方は、減価償却累計額になり、固定資産の取得原価から減価償却累計額を減じた価格が、時価となるようにするものだ。 これは、将来毀損する物を再構築、再入手するための積立金ではない。 たとえば、10年後に光ファィバが消えてなくなり、その時にまた費用が発生するので、積立金を積んでおくというのであれば、それは減価償却費でなく、建設準備金などになる。 地方自治体において、このうよな準備金を積み立てるとなると、当然その相手方勘定は、流動資産になどになるのだが、これは内部留保になるので、すくなくとも地方交付税などを当てることはできず、自主財源からを貯蓄することになるが、そんなことをしている自治体はない。 一方で、通信路などの固定資産といえども、毀損、損傷、劣化はするから、とうぜん保守、修繕は必要であり、これらは一般に年間の保守費用として費用発生するが、議会との当局答弁では、数千万だったし、それは伝送路のの賃借収入により賄えるというのだから、無いに等しい。 そして、光伝送路が保守、維持をしながら利用していて、10年で使えなくなるなんてことは、絶対にない。 もし、あったら、いまの通信業界は、NTTもソフトバンクも、KDDIもあっという間に破綻するので、経済的な大発見だ。
すくなくとも、"減価償却費が発生する"なんて発言は、財務諸表も読めない、BS/PLの区別もつかないという事を表している。 現在の地方自治体は、中央との権限委譲、自主財務管理が必須であり、首長には、最低限の財務一般知識が必要なのだが、簿記三級程度の事も理解していないとなると、財務担当補佐官でも任命した方が良いかもしれない。