いまにはじまった事ではないけど、Root,Incも、MISも、こんどの EverySense,Incも、まぁベンチャーというカテゴリーだ。でっ、これらの会社では、いづれも世界で初めて的な事をかなりやってきたし、やっている。
こういう仕事をしていると、ベンチャーキャピタリストなどの投資家や、公募案件などの審査会等の評価委員などをしている学術関係者など、所謂有識者という方から質問を受ける機会は多い。
僕は、元々物理とか科学の基礎研究系じゃないので、いままで開発したり取り組んで来たものは、基本的には何らかの要素技術の組み合わせだ。だから、STAP細胞みたいな新発見というわけではない。
それでも多くの場合、いままで誰もやらなかったり、皆が出来ないと思っていたりすることにチャレンジして、独創的な仕事をしてきたと自負している。
そんな僕が、所謂有識者の皆様から受ける質問で、とても日本的なものがいくつか在って、それはそのまま日本のイノベーションの阻害要因ではと思うものがある。
典型的なのは、「その技術は他には無いんでしょうか?」というものだ。これはイノベーションを技術革新だと狭義に捉えちゃっている人のパターンだ。今時、なにか一つの要素技術や製品が、理由で大ブレイクするのは、とても珍しい。そして、多くの新しいビジネスは、なにか一つだけの要因で成功するわけじゃない。大事なことは、物事の視点や視座を変えて、いまの世界で多くの人が諦めていたり、暗黙のうちに出来ないと思っている課題を解決することこそが、イノベーションであり、それは決して技術革新ではなく、革新なのだ。
また、金融系とかの人には、未だに「知財はどうなっていますか?」という質問も受ける。これも、まったく同様に、今時一つの特許で競争優位性を確保できるものは、とても稀有で、過去にも何度か日記に書いたけど、特許のROIを検討しない知財妄信はかなり痛い。もちろん、状況や市場によって、知財は大きな武器になるから、これをないがしろにして良いという訳じゃない。大事な事は、知財戦略がどうなっているかであり、知財があるかないかという単純な話しではない。
これらに輪をかけて痛いのは、アメリカではどうなっていますか?とか、他社はどうですか?というやつだ。もちろん、先行する競合可能性のある事業や製品を調べているかは大事だ。だけど、欧米で実績のあるビジネスを、日本に持ち込んで何かするというような、一昔前のタイムマシン的な話しって、インターネットの普及した現代には、成り立たないだろう。
結局のところイノベーションを評価するには、イノベーターの示すとても小さなヒントを捉えて、自らのフレームを変えて物事を考えられるようなスキルが求められるということだろう。