出発が定刻より遅れ、成田上空での待機もあったけど、概ね予定時刻に帰国。 成田の混雑で到着便が詰まったようで,荷物が出てくるまでにかなり待たされた。
帰国便の中で、映画「リンカーンー」を観たのだが、これが僕には、とても楽しめた。この映画の主題は、奴隷制廃止に関わる憲法修正案の議会での裁決で、そこまでの票読みや集票の課程が綴られている。当然ながら、議事運営に伴う用語が沢山でてくる。
これは正に今回の出張のメインだったIEEE802.11での議事運営と共通している。IEEE802.11で使われるRobert's rules of order は、この議会の運営規則を民間などでも広く利用できるように策定されたものだから、基本は一緒なのだ。
というわけで、もうそのまま自分のチェアとしての仕事とオーバーラップして、とても楽しめた。こういう楽しみが出来るのは、職務の関係で議事運営に関わっているからこそだ。もし、こういう個人的背景が無かったら、また随分と印象は変わったものになっただろう。もちろん、そういうバイアスが無くてもこの映画は楽しめるけど。
この映画のクライマックスシーンは、議会における投票、裁決の場面になるのだが、ここでの会話は、ちょっと将来使いたいと思ってしまった。それは、投票が終了した時に、議長が、委員長に対して
「Mr.Clark please call my name」
:
「I want to cast the vote」
といって、議決権の行使をしたいと言い出す。
議長は、当然ながら議決権を有しているのだが、通常は結果に影響を及ぼさない限り、議決権を行使しない(賛否を自ら示さない)のが、運営マナーとなっている。この映画でも、この議長の議決権行使に反対する意見が出される。
これに対して、議長は、
「This is not usually, this is history」
と言い、大声で
「Yes! Of course!」
と自らの議決権を行使する。
このシーンをみて、僕は"これは完全に貰いだな"と思った。IEEE802は、Count Voteといって、起立や挙手で投票するのだが、それでも議決結果を発表するまえに、同じことは出来る。なので、近い将来、11aiの最終的な裁決をする日まで、この台詞を練習しておこう。
こんな風に映画の余韻を楽しみながら、成田でメールをチエックしたら、すかさずIEEE802のメーリングリストに、新しいスタディグループのチェアなどのオフィサーについての投稿が入ってきた。これが、ちょっと勇み足的な内容で、いささか驚かされた。ちょうど、このグループの設立にも貢献している日本の通信事業者の知人も、そのことに触れた投稿をしていて、僕の時差ボケ解消飲みに付き合ってくれることとなり、東京駅で一献。
今日は、頭のなかでNay, Aye が何度でてきたことか。