♪ぼくらは位置について 横一列でスタートをきった....♬
Alice乗用馬3歳、一年前の春、それまで育った北海道から一人で山梨まで出てきた。北海道の山中で育ってきたのに、いきなりの長旅で、山梨の牧場に飛び込んだ。 初めての馬房暮らしだった。いきなりの環境の変化で、食事も喉が通らない日が続いた。
「戸惑うとか以前に、まったくなにもわからない状態でしたね。一緒に北海道から出てきた子達とも別れ離れになってしまったし。もっとも、あの子達とは、牛と馬で最初から違う育ちではあったんですけどね。最初は、なにもすることがなくて、服も着ることもなくて、知らない先輩達との距離もつかめませんでしたね。食欲も、こっちにきてしばらくの間は、かなりなくなって、塩を舐めて、水ばかり飲んでましたね。」
それでも、Aliceは、この新しい場所で、新しいパートナーとの仕事を続けることから逃げなかった。そんな矢先、口を怪我して、ハミを受け付けなくなったこともあった。それでも、少しずつ足の上げ方や準備運動の手順など、小さなことから、ゆっくりとだけど引き出しを増やしてきたつもりだ。
「はっきり言って、年も違うじゃないですかぁパートナーとは。それでも、相手がベテランならいいんですけどね、言っちゃうけどライダーとしては、まだまだ若いというか判ってないというか、イラっとすることも多いんですよ。だから、一度なんて準備運動の時に、ついビクッとして、蹴飛ばしちゃったこともあるんですよね。大きな怪我にならなかったけど、ちょっとこっちも後味は悪かったかな。あっ、でもその一度だけですよテヘッ」
今日は、そのパートナーと新しい取り組みにチャンレンジとなった。馬場での練習の後、クラブの周りを常歩で一回りするこになった。しかし、間の悪いことに、通り道の横の畑で、木の伐採と野焼きをしていた。こんな光景は、見たことがなかった。しかも、車が後ろからきて追い越していった。緊張でボロが出た。それでも、走り出したりせずに、しっかりと最後まで歩ききった。
「いやー、緊張しますよ。だって、いきなり焚き火に車ですよ。ボロしゃっても、恥ずかしいなんて言ってられないですよね。一応、プロの乗用馬なんで」
緊張しながらも、新しいチャンレジを乗り切った。汗を流したあと、食事の前に、いつもの砂浴び。こうして、1つずつ階段を登っていく、これが、Aliceの仕事の流儀、
♬あと一歩だけ、前に進もう♬
というわけで、今日はAliceと馬場練習のあと、Sunnyの周りを一回り。今日も、蕗の薹を摘んで、昼にを天ぷらでいただく。小さい新鮮な芽は、独特の風味はそのままなのに、本当に柔らかくて美味しい。