今日は、土曜日だけど午後からSIPのAIホスピタル成果発表シンポジウム2022のために、千石の日本医師会館に。ちょっとだけ早めに着いたので、六義園横のお蕎麦屋さんで昼食。昨日、食べ損なった牡蠣をお蕎麦でいただいて、リベンジした感。
シンポジウムの方は、SIPの全ての成果発表だったのだが、手前味噌だけど本当に社会実装に向けた成果展開が進んでいるのが頼もしい。とあるチームは、今日の発表で、技術成熟度レベル(Technology readiness levels ,TRL)による自己評価をまとめてくれていた。これは、NASAが提唱した指標だけど、まだまだ日本社会では馴染みが浅いかもしれない。このTRLでは、技術成熟度を以下の9段階で定義している。
Level 1 – 基礎理論の着想段階
Level 2 – 技術要素の適応、応用範囲の明確化
Level 3 – 技術実証のデモンストレーション(Proof of Concept)この段階から、実証試験等を行い検証を始めていく
Level 4 – ラボレベルでの実証
Level 5 – シミュレート及び実空間での実証
Level 6 – 地上でのシステムとしての技術成立性の確認
Level 7 – 宇宙空間でのシステムとしての技術成立性の確認
Level 8 – システムの運用テスト、認証試験
Level 9 – 最終段階、実運用
提唱当時は、レベル7までだったそうだが、その後にLever8,9以下が追加されたそうだ。これらは対象が宇宙開発のシステムだけど、地上でのシステム=研究・開発者などに限定された環境,宇宙空間でのシステム=開かれた一般環境と読み替えれば、一般的な評価指標として使える。
もともと、SIPという国のプロジェクトは、研究開発成果が社会実装されて活用されることを求めており、予算をもらう組織には、国の投下資金と同等の自己投資を求めている。しかしながら、社会実装という言葉があまりに抽象的だし、被採択者の意識が低いケースも多くある。
幸いというかAIホスピタルは、当初から医療現場、研究開発組織がタッグを組んで、開発した成果物を病院で利用しフィードバックしていくチーム構成と強いPD(Program Director)のリーダーシップで、このレベルの6,7に値する成果がたくさん確認できた。また、コロナ対策での追加対応などをした一部のテーマは、レベル9の実運用まで行ったものもある。
というわけで、SIPに限らないけど、助成事業などで社会実装を求めるのであれば、制度設計や評価をする側は、こういう指標をきちんと整理して示すべきだろう。お題目のように"社会実装を前提として...”なんてのを要項に入れても、それだけでは何も達成しないのだ。
国際標準化も同じで、国際標準化をを推進といかいうなら、さしずめ国際標準化成熟度レベル(Standardisation readiness levels ,TRL) なんていうのを、定義してはどうだろうか?