知人の会社から新規プロジェクトのマネージメントが出来る人を探す相談を受けた。 コンシュマー向け量産製品の開発全般管理であり、民生電子機器の開発、量産の広い範囲の知識と経験が求められる。
しかし、物が複雑になり、分業化が進んだため、なかなかこういう人材がいない。 昔は、電気設計、機構設計、メカ設計に分担が別れていても、担当する製品の開発、試作から量産までは、ひととおり直接的に関与した。 このため、電気設計といえ、モールドや板金などの製造手法や一般的な用語理解はあったし、まして組み込みの場合ソフト/ハードの垣根は無いに等しかった。 こういうジェネラリスト的なのは、団塊の世代とそれにつづくいまの50代くらいまでが限界かもしれない。
また、それなりに量産を経験していれば信頼性試験や品質管理についての知識も当然持ち合わせるのだが、この辺りもかなり専門化しすぎて、大手家電メーカーなどでもソフト担当者などは、まったく現場を知らないこともある。 根本的なQCとQAの違いや、AQLの考え方、信頼性試験のアニーリングの意味などの知識は、体系的教育とOJTで行なう必要があるが、いまはそんな余裕がないのかもしれない。
実際、関係している会社でも、数多要る開発勤務の人間のうち、はたして工場の生産工程をしっている人間がどれだけいるかというと、皆無かもしれない。
結局のところ,日本の競争力はこういう基礎的なところから、もはや崩れているのかしらん。