参加している研究会では、大きな公的支援による研究発表もあるのだが、総じて独創性を感じるものが少ない。
確かに資金力があるので、いろいろな装置やら目新しい道具やらが、豪華に並んだり、自治体や組織を上げての大規模で華々しい実験に見える。
でも、その中のどこに新規性、独創性があるのかが見えない。しかも、標準化とかグローバル化とかのお題目があるんだけど、世界と勝負するには、あまりに稚拙な感じが否めないものも多い。
とくに、僕は無線LANの分野にいるからそう思うかもしれないけど、無線LANを使って何かやりましたという時点で、もう駄目だろ。仮に、無線LAN使って云々なら、無線LANのコアなとこまで突っ込んで欲しいけど、残念ながら表層的な使い方レベルが多い。
一番不思議なのは、テーマとなる問題に対して、それを解決するシステム要件を明確にし、そこから通信に対する要求、要件を導出し、結果として無線LANを選択したという流れが無い。つまり、目の前にある自分で使えるおもちゃでこんな事しましたでしかない。
システム要件から求めて行けば、無線方式そのものを創造するという欲求が起こったり、既存の無線通信が従来想定していなかった利用形態の創出などができるかもしれないのに、そいういう取り組みが少ない。
無線LANの最大のイノベーションは、誰でも使えるゴミ箱バンドを通信に使ったということなんだが、こういう大きなイノベーションは、フレームの転換からしか生まれない。
莫大な国費をかけて取り組む研究ならば、そういう独創性を追求してほしいとストレスを感じるのは、持たぬもののひがみなのだろうか。