北海道十勝で開催されていたDICOMO2013も今日で終了。最終日の朝のセッションで、11ai/FILSの実証実験について発表。このセッションは、無線LANがテーマで、そのあとのセッションもQoSということで無線系ネタが多かった。
情報処理系の学会では、ここに限らず無線通信での様々な提案や研究が若い研究者によって発表されていて、これはとりもなおさず無線通信がそれだけ普及したということの証だろう。とくに、無線LANは情報系と切っても切れないものなっているし、携帯電話などもいまやデーター通信がメインとなりつつあるのだから、当たり前といえば当たり前だ。
そんなわけで、今回も沢山の無線絡みの発表を聞いて、質疑に参加したのだけど、正直これでいいのか日本の学術界はと思ってしまうものがかなりあった。
一般に無線通信では.... 云々などと、さも当然のような前提で問題定義をし、それにたいする改善提案をして、計算機シミュレーションを示すというのが実に多いんだけが、そもそもの前提があまりに非現実的だったりするパターンが沢山ある。
また、もっと問題なのは論理的な推論無しに、実験しました、計ったらこうでしたみたいなのも沢山あった。こういうのって、無線だからとかじゃなくて、工学に関わるものとして、そもそもありえないだろう。
電波というものを、ブラックボックス化して、実機測定しないとわからないとか、市販の無線機ではできないのでシミュレーションだけしましたとかで、実は無線関係の世界では、当たり前のように理論値があるのに、その辺りを調べていなかったりする。
推論無き実験は意味が無いんだって事は、工学者として強く意識するべきじゃないのと、小一時間言いたくなるなぁ。
もっとも、逆もあって電気電子通信工学系の学会にいくと、情報処理系で普通になされている上位層の事がまったく調べられていなかったりする。結局、いつも思うんだけど、情報処理系と電気電子通信工学系との乖離は、大きな問題なんだろう。
しかし、いずれの研究だって指導教官もいるわけで、そうい人達は、PhDなんだから、分野に関わらず、もっとコンセプチュアルな思考、論理展開ができるはずで、そのあたりをちゃんと学生さんに指導すればいいのにとも思う。
なんだか、今日聞いたいくつかの発表は、指導教官やゼミで事前にディスカッションとかレビューをしたのかなと思うものあり、指導教官も質疑に参加しなかったりで、逆に学生さんがとても可哀相に思えてしまった。