シカゴで開催されているWi-Fi Alliance のメンバーミーティングのオープニングで、15周年記念のビデオが上映された。1999年のWECAミーティングから早くも15年になるわけだ。
当時は、PCMCIAカードの標準ができて、無線LANをそのインタフェースに合わせていこうという段階で、ハリスのプリズムによるリファレンスデザインの登場が大きなブレークスルーだった。
さて、このWi-Fiだけど、スマホによる利用の急拡大で、いま大きな節目を迎えつつある。公衆無線環境では、乱立する基地局同士が、本来の通信ではない制御のための通信で、帯域を大幅に消費してしまい、利用者に満足のいく品質でのサービスが出来ていない。
そこで、周波数帯域が不足しているということから、5GHz帯域の利用促進なども進められているが、屋外利用の制約などの課題がある。
また、利用者がWEBを開いてログインするというWEB認証が、未だ多く使われいるが、セキュリティ上の問題と接続の煩雑性から、これを安全かつ簡単にする必要もある。
このような課題を解決して、より快適に安全な利用を推進するために、国際的にWi-Fi AlllianceやIEEE802.11で、さまざまな取り組みがなされており、世界的にはずいぶんと実用的な技術導入も進んでいる。
いま、日本ではオリンピックに向けて、もっとWi-Fi環境を整備拡張しようということで、沢山の関連した動きが官民を超えて出てきている。この方向性は、間違いなく嬉しいことだし、望ましい。
しかし、その取り組みとして、国内の研究者や有識者と言われる一部の人達の国内事情に寄った推進といのは、どうも世界からズレていて、Wi-Fiもガラパゴス化しちゃうんじゃないだろうかと心配になってくる。
成田空港で外国人にアンケートしたら、日本の問題としてWi-Fiが使いにくいというのが一番の不満なんていう事を書いて、それに対して諸外国では云々なんて知ったかぶりしている記事もみると、もう呆れてしまう。
実際に、こういう記事にコメントしてる有識者の人は、年間世界のいくつの地域と国でWi-Fiを自らが使った経験があるのだろうか?
Wi-Fi利用時間と接続した先の種類を掛算して数値化したら、僕はかなり高い位置にランクされると思うんだけど、その僕からみると日本のWi-Fiの接続環境は、世界的レベルでみてもかなり高品質だ。
問題は、基地局が少ないとかではない。むしろ、これ以上、基地局設置を乱開発したら、パスワードの入れ方云々以前に電波環境として破綻して、どこもかしこも使えなくなる可能性のほうが高い。
接続の容易さなどは、国際標準も含めて、半導体メーカー、製品メーカーがきちとん努力をしているので、まずはそれをちゃんと推進し、いま乱立している基地局のくだらない縄張り争いを整理することが、努力するべき方向ではないだろうか?
国際標準や業界動向に目を向けずに、狭い世界でちょっと物知り顔をした有識者による、Wi-Fiサービスの粗製濫造が続けば、まさに日本は世界一Wi-Fiの使いにくい国になるだろう。
Wi-Fi普及と整備をとか言ってる、監督官庁とか委員会の人に、国際的な調整の場所でお会いした事が、全くないのが不思議でしょうがない。
とにもかくにも、Wi-Fi 15周年おめでとうなので、今日はこのくらいにしといてやる。www