製造業にいると、モノの価格の原価構成とかは、概ね判る。部品代と工賃からなる工場価格にたいして、輸送と保険費用が発生し、そらに償却コスト、販売コストが積み重なっていく。メジャーの製品にしても、こういう構造は一緒で、まぁだいたい工場価格の3倍から4倍が定価になる。販売価格は、とうぜんながら販売店のマージンなどが含まれる。
この辺りの感覚は、ものつくりをしてきた人には、当たり前なのだが、ラズパイでメーカーズです的な人には、どうも通じないらしい。つまり、品質管理とか、サポート、償却なんてことを考えずに、価格を打ち出して、あとで泣きを見るようだ。
一方で古き良き製造業の人たちは、この積み上げでしかコストを考えない人も多い。特に、困るのは理由がある積み上げではなく、社内規定ですとか言われる場合だ。流通にしても、EMSの出荷レベルにしても、その形態によって、製造管理コストや販売コストは大きく異なる。だから、それなりのEMSを使い、Out to Out で出荷した場合と、自社に受け入れて、QCやロジをする場合とでは、大きくコストが異なるはずだ。こういう、原価がこれでしか作れないから売値はこうですというのだと、市場創造するなんてことは出来ない。
一方で、シリコンバレーなどでは、こういうビジネススキームの分業が明確だし、中国のEMSなども様々な提案をするので、それなりに市場をリードするモノが出てくるようだ。
ここ数日は、コスト問題で、久しぶりにモノの産みの苦しみを楽しんでいたりする。僕が、民生製品の開発をしていた頃は、タクトタイムは秒単位だったし、原価も一銭単位だったのだが、そういう感覚でのコストダウンの話しが最近は通じないというのが辛い。