ベンチャーとして事業内容を、VCや金融系の人に説明することは、それなりの頻度である。そんななかで、よくある質問が 「このアイデアと同じことを、大手が行ってきたらどうするのですか?」「それに対して、参入障壁は、なにかありますか?」というのがある。
常々思うのだが、技術にしてもビジネスモデルにしても、インターネットの時代に、誰も参入できないOnly Oneが最初から自明で保障されるビジネスなんていうのがあったら、それはもう完全にノンインターネットなものだろう。
いまだに、イノベーション=技術革新と訳してるような人達は、なにか新しいアイデアがあって、特許でも取れてたら、それだけで将来においても誰も真似できない参入障壁が担保されると期待しゃうのかもしれない。
しかし、イノベーションは、特定の技術に依存する革新ではなくて、フレームの転換であり、それを他者よりも早く気づいて、仕掛ける先行優位こそが参入障壁そのものではないだろうか?
そして、もしそのアイデアが、本当にイノベーティブなものであり、後日それを大手が真似して参入するとしたら、それ自体がその時点でアイデアの価値が市場認知されたことの証となるわけだ。
仮にそのような局面が訪れたとしたら、先行するベンチャーには、二つのオブションがある。一つは、大手のもつ経営資源が、その価値を持続的成長させるのに有益ならば、M&Aという出口だ。もう一つは、大手が参入するような市場認知がされたなら、今度はその市場のなかで集中と選択をすることで、独自のプレゼンスを確立するという手法もあるだろう。
いづれにしても、大事なのは現時点で保障される産業障壁(そんなものがあるとして)ではなく、一定期間の先行優位性と持続的なアイデアのブラッシュアップにより、その期間を常に更新していくことだ。
残念ながら、「このアイデアと同じことを、大手が行ってきたらどうするのですか?」なんて質問は、まぁある種のベンチマークシートにに書かれているので、聞いておかないといけない質問の一つでしかないのではないだろうか。そして、こういう質問をする背景は、自らのデューデリに対する他からのツッコミに向けた、保身的な防御姿勢なのではと、最近はつくづく思ってしまう。
それにしても、こういう質問は、日本の大手のVCや金融系のサラリーマンインベスターからしか出てこない。