診察結果を受けて、年末からホルモン治療の投薬を開始。診察の時に、内科の先生との話で、教科書的な五年生存率という数字は聞いたものの、まぁ主治医の先生からとくに命に関わる話はなかった。
自分で、ちょっとネットで調べればいろいろとわかるんだろうけど、それはそれで情報量が多すぎで、なにをどう判断して良いか判らないだろうと自分に言い聞かせて、あまり調べたりせずに、年末・年始も普通に過ごし、一月の初旬に最初のホルモンの皮下注射をして、そのあとアメリカに出張。アメリカで知り合いと話しをした時に、所謂ステージはいくつなのかと聞かれても、なんかそれって特に言われてないなって感じで、まったくもって現実を直視出来てなかった。
帰国後、医療情報系の知り合いが泌尿器科のドクターを紹介してくれて、セカンドオピニオンというような正式なものでなく、ちょっと話を聞いていくれるということになった。まずは病院でもらった病理診察レポートなどの数字をかいつまんでメールで状況説明。僕的には、主治医の先生からは余命とかの話しもないから、まぁ五年存命率というのは、治療しない場合の数字だろうし、そのデータの根拠の治験者の年齢も違うだろうから、自分のケースは違うんだよねと期待してた。しかし、これらの楽観論は全否定されてしまった。とはいえ、今の段階でホルモン治療を始めたばかりで、なにかを判断するのは、まったく意味がなく、ホルモン療法と放射線治療の併用というのは、適切な判断なので、これらにより根治を目指すことをアドバイスされた。
その後、一月末に放射線腫瘍科で治療方針や内容の説明を受けた。この時にはじめて、所謂ステージが4であることを再認識。確かに、T4って内科の先生もいってたけど、これがあのドラマとかでよく出てくるステージ4ってのと同じとは思ってなかったというか、違うものだよねと逃げていたのに、明確に紙に書かれてしまったわけだ。
もう、こうなると頭のなかでは、あのドラマのお決まりのシーンが再生されてしまった。
「患者、IT企業の経営者 58歳 男性、 PSA1165、グリソンスコア9 高危険群・局所進行の前立腺癌 ステージ4。幸い遠隔の転移は認められないが、隣接のリンパ節に複数の浮腫があり精嚢との境界域も不鮮明のため、根治目的にIMRTを用いた放射線治療と内分泌療法の併用を行います。」
「異議あり!!! 私切れまーす。」
「いやいや、 ここは腹腔鏡の魔術師のわたしが、ダヴィンチによるロボット手術で..... 」
ということには、ならなかった。
おかけで、この後高いメロンをもらうこともないわけだけど、城之内先生にも会えないのは少し残念......
てなわけで、まぁとにもかくにも、目の前にそれなりに厳しい現実が突きつけられて、精神的には自分の生というものについて、ついついいろいろと考えてしまう日々がはじまってしまった。