今日の午後は、NICTのテストベッド分科会で久しぶりに有・無線エミュレータの話しをさせてもらった。このエミュレータの話は、今から10年以上前に、やはりNICTで行なったパネルディスカッションの時に着想した。それ以来、いろいろな関係者の協力のもとに、少しずつ研究を続けてはいるのだが、なかなか大きなプロジェクトにあげきれずに忸怩たる思いをしている。
ちょうど、先週のニュースで、リニアコライダーの誘致について、学術会議が否定的な結論を出したというのがあり、大型研究そのものに対する是非も話題になったようだ。それでも、物理学や医学などを中心に多くの大型研究計画は、いまも進行している。ところが、それらのテーマの中で、残念ながら通信系のものは、取り上げられていない。
先日のソフトバンクの障害でも、今や社会基盤として有線・無線の通信システムが社会基盤として重要であることは自明だが、現状5Gにしても、我が国の研究は、完全に世界の後追いになっている気がする。これは、通信機器のビジネスだげでなく、国際標準化などの次世代への取り組みや、その背景にある先端的な学術研究分野でも同様だろう。
日本は、マルコーニの無線通信実験のあと世界に先駆けて追試に成功し、TV放送にしても、通信にしても、かつては世界をリードする立場だった。しかし、ディジタル&&パケット交換方式の通信になり、単純無線要素技術だけではなく、システムとしての通信システムが求めらる現在、残念ながら世界の後塵を拝している。そして、残念なことに海外から紹介される技術に対する目利きの悪さで、本質を見極めずにお手つきをしてしまうケースがあと立たない。かつての、UWB、WiMaxやマルチホップなども、本当にセールストークによく踊らされてきたなぁと思う。ここ数年は、LPWAなども本当に質の低いというか、悲しくなるくらい低レベルな発表とニュースが溢れている。
というわけで、中長期に通信の要素技術からシステムとしての全体評価までを、繰り返し利用でき、特定要素技術に依存しない大型のテストベッドとしてエミュレータシステムを提案し続けているのだが、まぁ道のりは長いなぁ....
夜の懇親会では、21年前に四国での調査研究会でご一緒した旧友とも、久しぶりに盃を取り交わした。