ICPF(情報通信政策フォーラム)のシンポジウムに参加する。 ICPFは、知人らが立ち上げた任意団体で、設立以前から運営や立ち上げにゆるやかな参加をしてきた。 2年間にわたり月一の研究会を継続してきたが、今回正式に任意団体からNPOへと組織形態を変えるので、任意団体としてのイベントの締めくくりのシンポジウムだった。 今日の講演者の中村伊知哉さん、池田信夫さん、林紘一郎さんらとは、かつて通信事業をした頃に知り合った方たちで、いずれも通信、放送の世界では著名かつ独自の視点で鋭い活動をしている人達だ。 今日の内容は、それぞれ通信・放送の法体系、電波政策、情報セキュリティと異なるテーマだったのだが、どうもその根底には一つの共通な問題があるように聞こえた。 それは、いづれも現在の制度や政策の問題を指摘し、その組みなおしを提言しているのだけど、問題の根幹は複雑な制度体系にあるという点だ。 どのテーマも突き詰めてしまうと、階層化思考を持って、整理していけば、自ずとあるべき姿が見えてくるはずなのに、柵に支配され、各論に足を引っ張られているという感じだ。 これは、コンセプチュアルデザインをまず書いて、それに対する実装を階層ごとにきちんと行うという手法がないということだ。 制度や組織運営などから回路設計やソフトウェア開発まで、おおよそなにかを作り出すという時には、グランドデザイン、コンセプチュアルデザインをまずつくり、それをブレイクダウンしていく設計プロセスと、いちど決まった設計を一つ一つのモジュールごとにボトムアップで積み上げていく実装プロセスの組み合わせが行われるのだけど、この二つのプロセスのバランスが崩れている気がする。