ここのところ、無線LAN機器などで、ちょつと独自の実装や改版した製品が欲しいという相談が多い。 こういう相談を持ち込む人達は、無線LANのAPは、今や数千円なので、開発費を多少はらえば、カスタマイズできると期待してくる。 ところが、コンシューマーマーケットとからみると、その数量があまりに少ないため、開発費をもらっても対応が出来ないことが多い。 そして、比較的小ロットで対応可能なハードウェアプラットフォームなとると、価格は一挙に数万円になってしまう。
さらには、コンシューマー製品の多くは、OEM/ODMであり、そのブランドメーカーが設計に対するオーナーシップを持っていない。 本来のODMはそうじゃないはずだけど、最近はODMといっても、それはチップベンダーのリファレンスデザイン依存だったりで、スクラッチから設計しているわけではない。 このため、設計に対するオーナーシップがないのだが、その辺りは一般には判り難い。
どうせ、中身はLinuxベースなんだから、多少のアプリケーションレイヤーな改版なんか簡単に対応してくれるだろうと思ったら間違いで、中にミドルウェアを使っていて、その構成と仕様にがんじがらめだったりするのだ。
このように、モジュール化が進んだ産業では、コア部分がブラックボックス化するのは、当然の傾向である。 となると、エポックメイキングなアイデアはあっても、製品化が難しくなる。 お店にならんでいるブランドを持つセットメーカーが、いまやこのレベルになっていて、どんどん国際競争力が失われつつ有るのだ。 このままだと、結果として、イノベーションを起こすものが減り、次のムーブメントも創出できなくなる。