今週のIEEE802.11 TGai の会合では、某大手チップベンダーから新しい提案がでてきた。 この提案は、ちゃんと評価も含んでいるし、標準化のための寄与文書も起草されている。 そして、なによりも提案手法の効果は、それなりに大きい。
ところが、この提案を実装するとなると、速度的にチップ内部での処理が必要になる可能性がある。 いままで、TGaiは、基本的にソフトウェアの修正範囲で議論してきたのだが、この提案をもし必須事項として受け入れるとするとチップが変ることになる。
このことは、チップベンダーにとっては、市場に対する影響力を維持し、かつ差別化するという点で、とても大きな意味を持つ。 しかし、チップベンダーに対する依存性が強くなることは、他のプレイヤーには歓迎されない。 とはいえ、業界でも大きな力をもつチップベンダーが、具体的な戦術を示したきたことは、標準化としてはかなり大きな推進力になる。
今回は、この提案の採択は見送られたが、今後この提案を巡っては、かなり熾烈な駆け引きが発生する予感がする。
今週もTGaiは、4日間で11スロット=22時間の会議を行ったが、内容的には想定以上に審議も進んで、良い結果が得られ充実したセッションだった。