随分と昔に雲仙普賢岳の土石流災害の復旧工事のために、重機を遠隔で操作する無人化施工に、無線ルータを納入して利用していただいたことがある。
その時のお客様である某ゼネコンの方から連絡があり、数年ぶりに面談。福島第一原発とかでも、災害復旧のために多くのロボットが活用されていて、無線による遠隔操作のニーズは相変わらず高いようだ。
今日は、最近の無線LANの話のあと、この関係で政策提言等をしている某大学の先生の元に急遽同行して意見交換。技術の話というか、社会全体の話としての課題意識は、かなり共通する部分があって、とても勉強になる。
それにしても、最近は無線LANのシステムでこんなこと出来ないかという相談が多い。その背景は、無線LANがコモディティ化して、誰でも同じようなものを安くOEM等で調達するようになったから、自社で開発しているメーカーが国内に無いことに遠因がある。
結局は、リファレンスデザインによるありきたりの製品を調達するばかりだと,多少ソフトで差別化するファンクションを入れてるとしても、根本的な回路や組込みスタックの事が判らない。従って、こういう個別のお客様のニーズにあったことをやろうとしても、出来ないということのようだ。
まぁ、フィールド試験も高周波の測定もしたことのない人が、プロトコルというかちょっとしたソフト修正をしたからといって、ハードの調達や製品展開が出来るわけじゃない。
モノつくりの経験がない、信頼性試験やQAが何かも知らない人が、売りモノを箱に詰めて、ちょっいとソフトをいじって、製品を提供するという本来メーカーがもつべき各種のファンクションを持たないで箱売りをすると、必ずあとから悲惨な結果になるというのを、いままで何度も見てきた。
QCとQAの違いも判らない、製造ラインも工場も見た事が無いのに、製品を売るという責任分解点のビジネスモデルには手をださなければ良いのにと思うのだけど、なぜかそういうパターンが多い。
そんな状況だから、逆にもしかしたら、多品種小さいロットの無線LANの特機ものって、ちゃんと開発から製造までやれば、日本でもまだ付加価値を生む分野なのかもしれないなぁ。