トップ «前の日記(2019-03-24) 最新 次の日記(2019-03-26)» 編集

Mano Blog

Health | MISC | NPO | PC | インターネット | 仕事 | | 電波 |

2019-03-25 位置情報は価値がある

_ [仕事] 位置情報は価値がある

  本日の日経電子版に、10時間で本人特定、スマホ位置から出張・実家も筒抜けとい記事が掲載された。

  この取材には、EveryPostというアプリや携帯端末(iPhone)を記者に貸与し協力をしてきたので、少し事実関係に限り補足しておこう。

EveryPostというアプリは、データの収集者からその利用目的や対価などの条件が示され、それを提供者が承認することでデータの送信が行われる。 例えば、一月に行われたデータ収集の時にデータ提供者に示された条件は、以下のようになっている。

  <1月ロケーションデータ調査>

  【概要】 1月1日(火)〜1月31日(木)におけるロケーションデータ調査にご協力ください。 データは、1時間に一度提供いただき、31日間すべてで提供いただくと、最大1,500円相当のポイントを獲得できます。 なお、収集データは個人の方が特定できない情報として第三者に無償で提供・提示することをご了承ください。

 【利用目的】 個人の方が特定できない情報として、エブリセンスから第三者に収集データサンプルとして無償で提供するため。また、エブリセンスのホームページにある「SHOWCASE」にて、ライフログの可視化に使用するため。

 【実施期間】 1月1日(火) 0:00〜1月31日(木) 18:00

 【対象センサー】 [位置情報] [歩数] ※アプリのデバイス設定でそれぞれが[ON]になっているかご確認ください。

 【審査対象項目】 [性別] [生年月日] [郵便番号]を公開している方を対象とします。 ※アプリのオーナーアカウントでそれぞれが[公開]になっているかご確認ください。

  このケースでは、位置情報と歩数情報の他に、[性別] [生年月日] [郵便番号]が少なくとも附帯情報として公開されることを求めている。また、提供者は、これ以外にも、職業や都道府県、市町村、番地などの項目毎に公開するかどうかを、任意に設定している。 ただし、職業や性別には、"その他"とか"設定しない"という設定も用意されている。

  基本的は、EveryPostの仕組みは、逐次個別同意なので、異なる収集者から異なる条件(オーダーと言う)でのオファがされ、それについて個別の承諾をする。この時にデータにつけられるID(Unique User ID) は、毎回のオーダー単位で異なるので、複数のオーダーを発行したからといって、そこに共通の項目が存在しないと、名寄せはそれ自体ではできない。また、データ提供者は、アプリからのデータを提供を禁止する時間を設定できるので、たとえば昼間だけ提供なども自由に制限できる。

  このような条件に対して、自らデータ提供を承認された方から頂いたデータを、使用目的にあるように"エブリセンスのホームページにある「SHOWCASE」にて、ライフログの可視化"として開示したわけである。

  要するに、位置情報・歩数・性別・生年月日・郵便番号がエブリセンスを通して収集され、可視化サイトにグラフィック表示してきた。

  当然ながら、このデータには、個人を特定するメールアドレスや電話番号などはなく、個人特定に向けてこの記者が記事にあるような複数の情報を基にしたプロファイリングを行なったわけだ。 さらには、今回の取材に応じてくれた大学の先生は、その職業柄自らのコンタクトを公開されてる。また、この記事には書かれていないが記者さんはLinkedinによる検索をしたそうだ。大学教員といのは、一般の方よりも公開情報が多いので、特定し易いという面もこの結果を助けただろう。もっとも、鬼女板系だったら、10時間なんてかからないだろうなぁ...

  よくいわれることだけど、複数の情報を重ねあわせれば、個人の特定というのは可能であり、そのなかでも位置情報というのは、とても強い性質をもつ。つまりは、ことほどさように位置情報というのは、相当に価値のあるものなのだ。だからこそ位置情報を同意なしに収集することは、そのまま価値の搾取といっても良いだろう。データは、価値のある財産であるならば、"知らぬ間にデータを取られていた"というのは、"知らぬ間に財産を取られていた"ということに他ならない。

  だからこそ、データ提供者が積極的に自分の情報を納得のする相手に、納得のする条件で提供し、対価・便益を得ることが重要になってくる。 これは、自分のデータを明確に財として活用していく事なのだ。

  ちなみに、過去1年近くこのようなデータ収集実験をしてきたけども、協力してくれた数百人の利用者からは、実験を停止するとポイント(対価)が稼げなくなるので、次はいつやるの?なんて質問を受けることが多く、個人情報関係での苦情はまったくなかった。とはいえ、EverySenseは、自らがデータの収集も保持もしないデータ取引市場運営事業者なので、このようなことができますよ実験は、一旦終了する。ただし、エブリセンスに参加するデータ収集者が、同様に様々な条件でデータの提供を求め、それらにデータ提供者が対応することを、エブリセンスが恣意的に制限することは当然しない。 むしろ、このようなデータの収集をデータ取引市場を介して行いたい人には、リファレンスアプリの提供や技術支援もしたいと思っている。


この日記は、FaceBookにフィードしているので、ツッコミはそちらだけで受け付けることにしました。
過去の日記
2019年
3月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31