とある業界で取り扱われる製品群について、クライアントからの依頼で標準化を含めた将来像を検討してみた。この業界で扱う製品群は、用途が異なるものの、その動作原理が同じ仕組みにもとづいていて、ハードウェアの構成も類似している。
これらの製品群は、歴史的にそのアプリケーション毎に特化したstand-aloneの製品シリーズとして取り扱われてきた。これらの機器では、情報を収集するアナログ・ディジタルの境界の下位部分と、情報を分析・表示する上位部分が密に結合されている。この結果、複数の似たような外観ながら微妙に用途と機能の違う製品を、同じ利用環境に並べて、それぞれを個別に操作するという利用形態が求められている。このため操作が煩雑なだけでなく、機器の設置場所や、電源なども含めた設備の要求要件もそれなり多くなっている。
しかも、これらの表示する情報は、相互に関係性があり、利用者は統合的に用いるのだから、UI/UX的には、いささか悲しいわけだ。
そこで、下位部分と上位部分の結合が粗となるような標準を策定し、スタックモデルを整理すると、上位の部分が統合化できるし、複数の下位部分を組み合わせるなんてことも可能となる。
これは、カーナビ専用機がスマホに変わったように、この業界に限らず大きな流れなのだが、レガシーな業界のために、まだそこに誰も踏み込んでいないようだ。
というわけで、比較的日本企業が強いこの分野で、国際標準化に提案をすることは、おおきなインパクトがあるかもしれない。
このような発想は、結局のところ既存システムの解析をして、スタックモデルを整理し、個々の機能モジュールのインタフェイスを明確にするというステップだ。ちょうど、IEEE802.11でも、802.11 as a componentという議論があったけど、それと一緒だ。
経済学の人たちは、モジュール化という言葉を使うけど、概念的には同じことだろう。こういう風に、ちょっとレガシーな業界で、変わっていないものを見直すというのは、なかなかに面白い仕事なのだ。