日経コミュニケーションに、GyaO問題で露呈したプロバイダの“ぜい弱性” という記事が掲載されている。 このなかで、Gyaoによるトラフィックの増大が急激であり、Gyaoのユーザーにアクセス網を提供している他のISPからすると、直接接続網のインフラコストを負担していないGyaoのトラフィックに対応するコストを強いられているという不満が書かれている。 NTTコムなどからすると、Gyaoは他人のインフラにただ乗りしてサービスをしているというような書き方だ。 しかし、これはまったく酷い話だ。 そもそもインターネットは、自律分散網であり互いに独立したネットワークの相互接続によって成り立っており、各々は自らのネットワークインフラに対する運営コストを負担しているはずだ。 記事ではあたかもNTTcom がインフラを提供し、それをUsenがただ乗りしているような書き方だがNTTcomだって、まったく逆の立場でもあるのだ。 たまたま、UsenがGyaoというサービスをはじめて、そこのトラフィックの増加が起こったただけで、NTTcomが同様のサービスを始めていれば、まったく逆の立場になることだってある。 この記事に書かれていることを本当にNTTcomやIIJの経営陣が話しているとしたら、相当に非インターネット的であり、商業インターネットサービスを最初に始めたIIJの言葉とは信じがたく、Gyaoに対する僻みとでしかない。
本当にただ乗りだと思いそれが許容できないならば、自分のユーザーに対して、Gyaoへのアクセスを制限する措置を行えばいい。 その時、それを自分のユーザーが許容するのか、ユーザーに不満が募るのかは自明だろう。 アクセス網の提供者は、自らのユーザーに対するオーナーシップはもっているが、インターネット側に対するオナーシップやインターネットの先にあるサービスに対する一方的支配力はない。 ある日、自分たちの接続網を利用するユーザーが、Gyao以上のトラフィックを発生させるサービスを始めない保証はどこにもないのだ。