昨年行われた総務省のワイヤレスブロードバンド推進研究会の報告を受けて、2.5GHz帯の周波数利用についての委員会と作業班による技術的検討が進んでいる。 この背景には、Wi−Maxを日本で使いたい=使わせたいという事業者、ベンダーのリクエストがある。 電波資源(周波数資源ではない)の割り当てを、特定の技術に強くバインドすることは、あきらからに柔軟性を失うので、技術条件は限りなく限定的な範囲とすべきだと委員会でも指摘してきたが、残念ながらそういう意識の方は少ないようだ。
中山間離島地域などてば、無線によるP−MP通信が有効であるというのは、過去に全国150町村、1万箇所近くに2.4GHzの無線ルーターを導入した経験から言うと、間違いなかった。 しかし、ここまでブロードバンド化が進み、多様化、広帯域需要が増加した現在では、無線だけで何かをする事は決してメリットがない。 既に、総務省では、「全国均衡のあるブロードバンド基盤の整備に関する研究会 中間報告」において、FTTH(PON) 311千円/世帯、FTTH(SS) 304千円/世帯、ADSL 23千円/世帯、FWA 181千円/世帯というコスト比較を出している。
Wi−Maxの家庭用CPEは、300$くらいになると言われているので、本当にそれが実現するのであれば、そこそこに魅力的かもしれないが、結局のところ域内の通信は、長期的にみると光のほうが安くなると思うので、このあたりをハイブリッドでいかに使うかが重要なのだが、ベンダーなどは光より無線が安いというセールストークしか語らずに、本当に利用コストがどうなるかを決して比較、計算しない。
地上波ディジタル放送の導入に絡んで、V・UHF帯の新しい利用方法に関するシステムの提案を総務省がおこない、今日が締め切りだった。 今後は、この低い周波数の利用が相当に注目されるだろう。 しかし、ここでも結局、システム提案の公募、技術検討、割り当てという従来からのデマンド型裁量配分となる予感がする。 電波資源の有効利用、国際競争力の強化などをかっこよく提唱するわりには、利用者の声がという大儀名文により、本当に電波資源の有効利用するためにはどうするか、国際提案できる技術の創出などを考えている人は少ないのかもしれない。 システムの提案をしているのは、ベンダーやキャリアであり、消費者の声はどこにもないのだ。