午後から大阪に移動するため、品川駅で新幹線をまっていて、ふと気が付いた。 新幹線のホームと線路の間は、柵がもうけられていて、乗降口のところは、自動的に開閉する安全扉が設置されている。 この安全扉だが、列車が進入してくると”安全扉が開きます”というアナウンスとともに、自動で開くのだが、そのタイミングが??だ。 なんと、列車が進入してくる前に、その扉は開いて、列車が動き出してから閉じるのだ。 これだと 減速しているとはいえ、進入してくる新幹線の前に誤って人が落ちることは防げないし、走り出している新幹線に人が接触することも避けられない。 地下鉄などに設置されている同様の機能のドアは、こういうシーケンスではないのだが、これは列車運行密度を優先させるJRならではの設計なのだろうか、 極めて不思議だ。
業務委託でソフト開発を御願いしている会社の事例発表&懇親会というのに招待いただいたので参加した。 会場に入るなり旧知のK氏に声をかけられ、会場にはいったら携帯電話メーカーの開発をしている方たちと遭遇。 彼らは、、同行していたIさんが転職する前の同僚で、僕も知っているし、一緒に仕事もしたことがある。 とここまでは、まぁ業界狭いなぁということだったのだが、帰り際に主催会社のKさんに声をかけられた。 彼は、じつは同じ大学の機械科から、新卒の時に僕のいた会社に就職した二年くらい年下の後輩だ。 その後の転職などもあり、じつに22年振りくらいの再会で、これにはいささかびっくりした。 一昨日も、新興通信キャリアのS社で、以前に一緒に仕事をしたWさんと5年振りくらいに再会したのだが、どうも最近は再会続きだ。 いままでの、再会までの最長期間は、数年前にゆびとまで中学の同級生から連絡があって再会した30年だが、これなんかは、業界もまったく違うので、インターネットがなかったら、おそらくは起こりえないことだろう。
仕事で関係するCATV事業者の立場で、総務省関東総合通信局を表敬訪問した。 もともと、地域情報化などに関わっていたこともあり、仕事の話とは別にU−Japan政策に明言化されたブロードバンド未解消地域0の実現についての話題に盛り上がった。 かれこれ10年近く、ルーラルエリアの情報化に関わってきたのだが、いよいよ次の5年が、その最終仕上げになるようで、個人的にもこの実現にはいろいろと関わっていたいものだ。 この中で、以前にもまして無線によるラスト1マイル解決というのが注目されているようだが、これは10年前からなにも変わっていない。 しかし、 10年前と比べ、光網の整備や光要素部品の低廉化などが進んでいるので、無線の使い方も10年一昔のラストマイルが効率的かは、根本的に検討すべきだろう。 また、コンテンツも放送型となった場合、マルチキャストというプロトコルと無線の性質を考え、本当にエッジが無線が有効かも考え直すべきだろう。 新しい無線通信の利用の仕方などについて、いろいろと考えさせられる年となりそうな予感がする。
日経に国交省、都市と地方の「2地域居住」促進という記事がでていた。 2007年から大量退職が始まる「団塊の世代」に照準を合わせ、地方で暮らす人口を増やし、消費拡大や地域活動の担い手づくりに役立てる狙い。7日に官民による専門研究会を発足、低コスト住宅の整備や移動運賃の割引など具体策を今年度中にまとめるそうだ。 二地域居住は都市に住む人が年間で1カ月以上、定期的に農山漁村などの特定地域で過ごす生活様式と定義されているようで、僕の場合には年間60日位は、山梨に住んでいるので、これに該当するわけだ。 こういう、生活様式をなにも、リタイアした人間だけに絞る事はないと思うのだが、まぁ圧倒的な需要は退職後なのだろうか。 しかし、「2地域居住」というのは、移動があるので、そこそこに体力もいるし疲れるものだから、退職後にこういう生活様式を続けるにはそれなりのエネルギーがいるものだ。 まぁ、さしあたって、移動運賃の割引なんていうのは、とても期待をもってしまう。
ちょうど、午後から財)全国地域情報化推進協会にて、情報通信インフラ委員会の会合に出席したが、これはブロードバンド未解消地域を今後の5年間でどう削減するかという具体的な検討をするための委員会だ。 現在カバー率で6%、世帯数で306万世帯がブロードバンド利用不可の地域となっており、この解消を促進するためのロードマップやマニュアルを策定し、事例情報の公開などを進めようというものだ。 こういう整備が進めば、地域と都市部の情報格差が縮まり、2地域居住にも弾みがつくのではないだろうか。 実際、僕の場合には、週末に山梨にいるが、ADSLが開通したおかげで、インターネットリーチアビリティは確保できているから、メイルやSkypeも常時利用できているし、諸々の調べものにも苦労しない。 情報通信の整備は、情報距離を短縮し、物流や交通手段が物理的な距離感を短縮することで、地域と都市の流通はより易しくなりつつあるようだ。
夜、無性にとんかつが食べたくなったので、超久しぶりに目黒のとんきにより、とんかつで一献。
夕方、山梨に帰る前にちょっと時間があったので、新宿南口の東急ハンズによって、パン切ナイフなどを調達する。 東急ハンズは、時間があればあれやこれや見て回ってても飽きないので好きだったんだけど、最近はどうも人混に不慣れなせいか疲れてしまい、歩き回る元気が無い....
というわけで、目的の物だけを購入して、そそくさと退散し、デパ地下でお弁当を買って、予定より早い特急に乗る。 指定券を持っていたのだが、窓口で時間を変える余裕が無く、直接ホームに行く。 車掌さんに聞いたら、ほぼ満席で窓口じゃないと指定席の変更が出来ないというので、自由席に並んで乗車する。 もう夏休みも過ぎたのに、週末の遅い時間の特急は、なんでこんなに混んでいるのか不思議。 自由席もあっという間に満席になってしまったくらいだ。 見回すと観光客という感じよりも、サラリーマンや学生が多いようなので、東京在住の人の週末帰省なのだろうか。
村のなかにあるお寺の境内からちょっと上った高台に、七面大明神という明神様が祀られていて、寺の檀家、信徒がここにお参りをするお祭りがあるというとで、村の方から誘われて出かける。 寺の境内からさらに山の上に上ったところに、社がありその中に祭られていて、村の人たちがすでに集まっていた。 寺は、日蓮宗の寺で、この七面山というのは日蓮宗の総本山身延山の鬼面にある山に祀られている明神様ということだ。 まぁ、村人が全員、檀家ということではないが、檀家でない村人も、信徒としてここで、無病息災を祈願しているそうだ。 社は相当の年代もので、寺も鎌倉時代からの歴史があるようだ。 僕は、基本的に無宗教なのだが、民俗学的興味もあるし、村の人とのコミュニケーションとしても、こういう機会は活かしたいので、参加してみた。 祈祷のあと、寺の本堂に場所を移して、簡単な茶話会があり、お札と供物をもらって帰宅する。
夜は、8月のお盆の時に開催された村祭りの反省会ということで、公民館で村の青年会と婦人部の人たちとの懇親会に参加する。 メンバーは、昼のお寺の茶話会とは、一から二世代若い。 Uターンで戻った人も含めて、村の若い人たちが、村の良さを語り、自然保護や歴史的行事の継承などに対する課題意識をもっていることは、東京の新興住宅地とは違うものを感じる。 僕の生まれ育った東京の下町では、同様に町内会での行事などは、重要なコミュニティ活動となっているで、似たようなものだなと思いだす。 ただ、実際に自分が住んでいないので、実家のある地域の活動とは疎遠になってしまっている。
NPO楽っ子もグループホームの施設が開所して4ヶ月が経過し、大分流れが出来てきた。 この間に、完全入居は一人だが、体験入居は数人受け入れし、今現在は二人の障害者が生活をしている。 同じ集落にある通所作業所も開所から半年が過ぎ、こちらも順調に運営されつつあり、彼らは毎朝元気に通勤している。 グループホームは、最低で4人の入居が無いと、居宅支援事業として行政の支援が受けられないので、まだ民設民営の形態で、利用者にも運営者にも財政的には厳しい状態ではある。 以前から十分に判っていたことだが、知的障害者は、個々人によって障害の度合いも、その性質もまったく異なるので、簡単に面談などで、入居可否を判断することは出来ない。 そのために、体験入居を御願いしているのだが、やはり生活を一緒にすることでいろいろと見えてくることが多い。 ともあれ、どうにか運営の問題なども見えてきたし、NPOも設立から一年を迎えるので、本格的に会員とのリレーションシップも進めたいと思っている。 ということで、まずは会員向けのメイリングリストをスタートしするためるに、fmlの設定をした。 ホームページも、Blog風にしたほうが良いのかもしれないが...まだ悩んでいる。
地域情報化関係の打ち合わせのため、午後から仙台に移動する。 Wi−Maxを利用して、ルーラルエリアのブロードバンドインフラを整備できないという問い合わせは実に沢山受ける。 FWA的な利用にしても、モバイルにしても、通信距離は、物理的条件により決まり、シャノン則を超えることは無い。 それにも関わらず、”非見通し通信が可能”という、キャッチフレーズに、実に多くの人たちが踊っている。 いまの携帯のように家の中まで電波が届くと思っている人が本当に多い。 実際に、広帯域無線の場合、要素部品に対する直線性などの要求がきついこと、移動体などでは消費電力を低くする必要があること等など、諸々の要件から送信電力の大きさは限界がある。 そこで、おのずとアンテナ利得で距離を稼ぐことになるのだが、移動体端末やPCMCIAカードなどでは、アンテナ利得を大きく取れない。 ということで、2.5GHzで、いまの800MHzの携帯のようなサービスをするには、かなり基地局数が必要になるし、ギャップフィラーのようなものも必要となる。 こんなことは、無線通信の基礎なのだが、なぜか”非見通し通信が可能”、"最大20Mbps"、”3kmから5kmの通信距離”なんていうコピーを、電力や周波数、帯域幅という電波資源の要件と関係なくアピールする人が多く、それを鵜呑みにしてしまう人も多い。 こいうことは、実験をしてみないとわからないのではなく、実験をする前にきちんと設計すれば、有る程度わかるのだが、なぜか実験しないと判らないといって授業料を払う人も多いようだ。
自社製品が複数の開発拠点で開発している関係から、同じような機能でも実装に差異があり、ユーザーに使いにくいものとなっていることがある。 そこで、これらの設計の共有化を進めることが課題となっている。 こういう場合、上流の仕様を抽象化、モデル化する手法が有効な事は、広く知られている。 ところが、開発の現場では、まだまだコード以外の設計手法が進んでいないことが多い。 ちょうど、いま発売されているNEに脱プログラミング至上主義という記事が掲載されているが、既にUMLなどに代表される仕様記述型の開発を取り入れてる企業は、多くの成功事例をもっているようだ。 組み込み系のソフトでも、アッセンブラーからCなどの高級言語への移行が進み、コードの抽象化やモジュール化の重要性は、それなりに理解されるようになったが、これらはコードベースであることに変わりなかった。 さらなる仕様とコードの分離、モジュール化は、これからその浸透度が加速するのだろう。
携帯の機種変更をして、数週間が経過した。 ノキアの機種は、主流ではないためiモードでのサービスには、かなり制約があるようで、着メロなどは、ほとんど対応していない。 まぁ、このあたりはさして問題ないのだが、使っているとメモリー不足になって、エラーとなったり、ハングアップすることが結構起きている。 おそらくは、メモリーリークなのだろうが、こんなのは出荷前に十分に再現するレベルのバグだろうに、実にクオリティが低い。 いまや、組み込み系もフィールドでファームアップができるから、出荷後にバージョンアップで対応するという安易なリリースが蔓延っているのだろう。久しぶりに金曜日の夜に東京で過ごす。
サンディエゴで開催されるWPMC2006に参加するため、成田からLAX行きの便に乗る。 事前に聞いてはいたが、機内持ち込み荷物の規制は本当に厳しくて、歯磨き粉などもNGとなっている。 シェービングフォームやコロンなどもあり、それらを廃棄して現地調達するのは嫌なので、必要最低限なPCなどだけを機内持ち込みにし、荷物をチェックインする。 二泊しかしないので、荷物は小さいし、いつもは手荷物なのだが、今度ばかりは仕方がない。 LAXに到着すると、入管は長蛇の列で、荷物が出てくるのと通関の時間がほぼ同じくらいだったので、まぁ時間的なロスはなかった。 LAXからは、SAAB40のプロペラ機で、サンディエゴまで移動し、ちょっと早い時間に到着していた同僚にピックアップしてもらい、ホテルに移動。 遅めの昼食をとり、時間をつぶした後、夕方からカンファレンスの受付をし、ウェルカムパーティに出席して、ようやく長ーーい一日が終わった。
WPMC2006(The 9th International Symposium on Wireless Personal Multimedia Communications)に出席する。 初日の午前中は、二つのキーノートセッションが、パネル形式で行われた。 全体として携帯電話ビジネスの飽和感が浮かび上がったように感じられるのと、Wi-Maxにたいする期待感が、ひところの熱がなくなったように思われた。 午後からは、パラレルセッションとなり、午後の遅い時間に、我々が行ってきた無線LANをつかったシームレスハンドオーバーの発表を担当が行った。 パラレルセッションの数か多いのと、その分類が、いまひとつ類型化が不明瞭なため、どうも盛り上がりに欠ける感が否めない。 国際会議での研究発表は、成果展開上不可欠ではあるが、各会議の影響度などは、参加してみないとなかなか判らない物だ。 IEEEやIETFといった、標準化会議で、継続的な提案、議論活動に軸足を置いた方が、民間企業の研究部門としては有益かもしれない。 それにしても、この会場には、一切のインターネット接続環境の提供も無く、会場でのコンセントの提供なども無い。 IEEEもIETFも、こういうことはないのだが、まぁこれはこれで、会議に集中できて良いのかもしれない。
夕方からは、日本の会議にSkypeで参加となり、中途半端な時間となるため、夕食はハンバーガーで済ませる。
サンディエゴで宿泊しているホテルの駐車場に、ジェットボートが停まっていた。 あまり、日本では知られていないが、ジェットエンジンを搭載したハイドロプレーンボートとかで、F1というプロの最高峰サーキットも行われている。 どの位の集客があるのかは判らないけど、こちらでESPNなどではたまに中継しているから、そこそこに人気はあるのだろう。 ホットロッドレースとかジェットカーレースとか、こういうパワープレイ的なモータースポーツは、実に多くの種類がある。 アメリカの場合、こういうものを楽しむサーキットとか競技場が、実に沢山あるのは、国土の広さの違いなのだろう。 帰路も例によって、ありとあらゆる液体製品は、機内持ち込みが禁止なので、コンピューターと財布などだけを、抜き出して荷物をチェックインする。 ちょうど、昨日もらったカンファレンスバックが役に立つ。
ベイエリアで取引のあるWi-Max関係の会社にいた、Manoさんという人が、最近別な会社に転職した。 日本でもさほど多くない名前なのに、外人で同じ名前の人は、はじめてなので印象が深い。 新しい彼の仕事は、やはりWi-Max関係なのだが、16eを実現する、基地局コントロールやモバイルIP系のソリューション会社で、日本でいくつかのキャリアなどを訪問したあと、こちらにもデモとプレゼンのために立ち寄った。 いつものことながら、PPTやプレゼンは立派なのだが、肝心の2.5GHzでどの程度、なにが実現できるかには、???だ。 間違いなくトレンドなWi-Maxだが、これがどう導入されるかは、今年が山場となるだろう。
新しく加わったスタッフの歓迎会と中国へ長期出張となる社員の壮行会がに参加。 久しぶりに、社員のみんなと一献となった。 年齢層は、20代から60代までと幅広く、また20年以上一緒に仕事をしてきた者から、最近仲間になった者まで多種多様だ。 新しく開発支援に加わってくれたメンバーは、全員モノ作り、製品開発のベテランなので、扱う製品が違っても、基本的なノウハウは共通しており、じつに頼もしい。 僕も、電子機器の開発、製造をずっと仕事としてきているが、幸いなことにソフトだったら、組み込みファームのアッセンブラー開発からDSPのフィルタ開発、PC上のアプリ開発まで経験できたし、ハードだったら回路設計、基板設計やゲートアレイ設計から機構設計と、ほとんど全ての電子機器開発、製造に関わることができた。 残念ながら、最近は分業開発体制のため、こういういろいろなことを若い人に経験してもらうチャンスを与えづらくなってきているが、こういう点をベテランの開発者と若手の交流が補えれば幸いだ。
冬にそなえて、庭で使えるファイヤピットを探していた。 欧米とかでは、結構通信販売などでも見かけるし、ホームセンターなどでも普通に販売されているが、日本ではあまり見かけなく、海外で購入するしかないかと思っていたところ、先週ようやく、輸入モノのファイヤピットを見つけて発注したのだが、週末に納品されたので、早速組み立ててみた。 石窯のおきを出した後に、このファイヤーピットに入れて再利用することもできるし、BBQグリルにもなるので、結構使い勝手も良い。 ということで、なんとなくイメージはミスマッチだが、夕食はサンマを焼いてみる。 サンマは、家の中で焼くと悲惨なので、こうやって外で焼けるのがうれしい。 遠めの強火で焼いたサンマは、やはりいいものだ。
山梨の家の周りの田圃は、ちょうど稲刈りの真っ最中で、黄金色の田圃が次々とコンバインなどで刈り取られている。 畑の夏野菜も、収穫期をほぼ終った。 遅めに直播したとうもろこしは、ようやく食べれる頃になると、猿に取られてしまい、結局のところ1本しか食べていない。 来年は、猿対策をしっかりしなくては... 先々週に種蒔をした大根の葉の間引きをし、間引いた葉を味噌汁にして食べるが、これがやわらかくて美味しい。 裏山の松の樹の一部が、松くい虫対策で伐採されたのだが、それを貰い受けて、石窯用のまきにする。 チェーンソーで適当な長さにしたあと、まき割りでわるのだが、まだ乾燥していないため、切った状態でもうしばらく様子をみることにする。 間伐材は、まだまだあるので、これで当面のまきは確保できそうだ。
総務省の主催するVHF/UHF帯電波有効利用作業班の第四回会合に参加する。 地上波ディジタル放送の導入後に空く、VHF/UHF帯の電波利用について協議をしているが、これがまったくもって収束しない。 スタートにおいて、150近いシステム提案が各界から行われ、それらを分類し、さらに類型化をしようというのだが、各提案は、物理層からアプリケーション層までを含んでいるため、なかなか統合して整理することが進まない。 これに対して、総務省は、あくまでも提案者らが自ら電波有効利用を考え、作業を行うことを期待しており、恣意的に踏み込んだ発言などを極力しない。 作業班の分科会合に対しては、オブザーバー出席とし、作業班においても事務局という立場を明言している。 このような状況では、各団体の我田引水的な提案は、なかなかまとまらず、中間報告で多少精査されたものの、いまだまったくもって混沌としている。 穿った見方をすれば、これは官僚主導の必要性を、民間に再認識させるためのプロセスではないかと思ってしまう。 一方で、親会である情報通信審議会からは、グランドデザインとして、高いレイヤーの政策方針などが示されることも、現時点ではない。 中間報告をもとに、今後の作業の進め方、作業班の構成そのものも、委員会で改めて見直すということとなったが、はたしてどうなることやら...である。
全国地域情報化推進協会の主催する、ブロードバンド全国整備促進ワーキングの会合に出席する。 このワーキングでは、ブロードパンド未解消地域を今後5年間でゼロにするための、ロードマップ作りやマニュアル作りなどが行われる。 会合には、県・市・町などの自治体とメーカー、通信事業者などが参加している。 活動目標として、ロードマップ作りを進めることになっているのだが、現状の把握という点さえも、容易ではないという意見が出された。 これは、現在総務省が示している世帯普及率などを示すエリアマップの基準と実態の相関が不明瞭な点なども要因として指摘された。 つまり、マップ上は1世帯でもブロードバンド加入が可能であれば、ブロードバンドカバー地域となってしまうが、実際には中心地域だけで周辺はカバーされていない地域が多いという指摘だ。 こういう曖昧性を排除するには、統計区域の分解能をあげる(町・村から字単位)か、その統計区域の表示を多値化する(対応・非対応という2値表現から世帯加入率に応じた5段階表示にするなど)ことが必要だ。 こういうのは、工学的に整理すると、データーの精度を上げるには、サンプリングする単位を細かくし、かつその分析表現精度を上げるという普遍的手法だ。 ディスプレイで画像の精細度を上げるには、画素数を増やすのと、画素あたりの表現数を増やすというのと同じなわけだ。
一方で、将来計画などを盛り込むにあたって、通信事業者が計画を開示してくれないとことがネックであるという意見が、自治体から出された。 しかし、通信事業者にとって、エリア展開などは、重要な企業秘密であるし、条件不利地域の整備計画など事業者が単独で向こう5年間分を持っているわけではない。 この場合も、展開予定と年度を開示するという要求そのものが、2値的なのでは折り合いがつかない。 せめて、計画がある、条件が合えば展開する、興味がある、計画は無い、などの段階的表現をもって開示することを良しとするなどを考慮する必要があるだろう。
午後から打ち合わせのために、湘南台にある製造部門の事業所を訪問する。 この部門には、電子機器の製造に長く関わってきた経験があるベテランが多く、海外工場での勤務経験や出張経験も豊富だ。 一方、製品の企画、開発、リリース管理などの部門は、平均して若い世代が多く、製造プロセスを経験した人間は少ない。 モノが複雑になったとはいえ、金属プレス、切削、射出成型、鋳造、印刷、半田などなど、基本的な製品製造の基礎は変わらない。 しかし、こういうプロセスを目でみたり、仕組みを理解する機会を持たない人は、品質管理や工程管理で、問題解決のアイデアが必要なときに、視点がせまく、効果的なアイデアを提供できないようだ。 終身雇用制が薄れつつあることから、社員を雇用後に教育したり、ジョブローテーションさせることの有益性は一概に良しとはならないかもしれないが、EMSのような製造専門集団に依頼してしまうか、一定の教育コストを投資するかは、経営判断として重用なポイントだろう。
物事の表現、伝達精度を上げるには、情報量を増やすことが必要なのだが、これは人と人のコミュニケーションでも同じだ。 今朝の会議で、営業部門からのリクエストが商品開発部門には、受け入れられなかった。 リクエストする側が提供する情報量があまりに少ないため、商品開発部門としての判断ができなかったためだ。 おなじリクエストでも、もうすこし背景情報や、条件情報があれば、妥協点を見出すことができると思うのだが、残念ながらそうではなかった。 仕事で他の部門を動かすには、相応の説明責任が生じるのだが、リクエスト側のコミュニケーションスキルが乏しかったり発信する情報量が少ないと、たとえ良いリクエストでも、相手はそれを理解しない。 いっぽうで、情報の受け取り側のコミュニケーションスキルが乏しいと、多くの情報を整理して理解することができず、本質ではない細部に固執してしまうこともある。 適切なコミュニケーションには、情報の発信量と受けて側の適応量がマッチする必要があるようで、電気工学でいうインピーダンスマッチングと同じようなものかもしれない。
久しぶりに共同研究やいくつかのプロジェクトを一緒に行なったO君が、別件の打ち合わせに合流し、そのまま一献となった。 彼は、若い研究者だけど、インターネットの根底にあるEnd to End原理をしっかりと理解している人で、技術の綺麗さというものにも、こだわりを持っている。 最近、参加している某MLですで、”インターネットだって,IIJなど事業者すら,黎明期は人と人とのコネで接続性が会社によって全然異なっていたことを知る人は少ないのかな?” と、某大手ネットワーク機器メーカー勤務の知人が嘆いていたけれど、これはそのまま、End to Endのことだ。 SNSやBlog、オークションなどの多くのアプリケーションサービスは、ホストtoクライアントな形だけれど、通信そのものは、End to Endの上に成り立っている。 ところが、ここまでインターネットが普及してくると、もう通信の形態なんていうのは、あってあたりまえになるから、その原理や構造を気にしない利用者の方が圧倒的に多い。 これは、インターネットにとって望ましい結果なのだが、一方で通信の本質の部分を理解し、研究する人が希少化するという点は、ちょっと悲しい。 技術は、技術そのものが主張しなくなり、利用シーンが増加することで、成熟を迎えるのだが、成熟した技術には、さらにそれを深く突き詰めようという研究者のモチベーションを喚起するなにかが常に必要なのかもしれない。
日経一面にKDDI、東電の光通信事業を買収・07年1という記事がでている。 今回の買収により、東京電力は通信事業から撤退となるようだ。 かつて、東電、ソフトバンク、マイクロソフトの合弁で設立された通信事業会社の立上げに仕事柄関与していたこともあり、いささか複雑な心境だ。 家庭へのラストマイルを持っていて、料金回収の仕組みもある企業としては、電話会社と並ぶ二大事業者が電力事業者なわけで、電柱という資産も、利用者へオーナーシップもある電力会社は、NTTに対抗すする競争相手として、実に望ましいの会社なはずなのだが、そこが事業を見限るということは、通信事業の難しさをあらわしているのかもしれない。 これを機に、他地域の電力会社系通信事業者も同様に、通信事業の売却撤退となる可能性も否定できないだろう。