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2015-03-27 SDO&Allianceのガバナンス

_ [仕事][電波] SDO&Allianceのガバナンス

  今日の午後は、無線LANビジネス推進連絡会主催のセミナーで、IEEE802.11aiについての講演。僕以外にも、技術動向全般、Wi-Fi Alliance, Wireless Broadband Allianceの動向について、それぞれのエキスパートからの講演があった。

  昨日の午前中は、サンディェゴを拠点とするヘルケア関係のアライアンス組織のC.E.O.が来日して面談をしたので、昨日、今日と民間アライアンス系の人と話しをすることが続いた。

  僕は、無線関係が専門なので、周りにはこの類いの民間アライアンスが沢山ある。また、インターネット業界やデーターセンター業界にも、とにかく星の数ほどアライアンスは存在する。

  このようなアラインスのなかで、何らかの標準化に関係があるところは、それに関連したSDO (Standard Development Organization)との連携が重要となっている。特に、電波のような世界的に共有ルールを確立する資源が絡む場合はに、単独の民間アライアンスだけでは、出来る事が限定されるので、デジュール型、フォーラム型を問わず、複数の機関でのリエゾン関係が重要になる。

  たまたま、僕が直接参加したり、関係したいくつかのアライアンスをみてみると、国内だけの団体は別として、そこにはアライアンスとしての力の差が歴然とあるように感じる。

  アライアンスというのは、特定の技術や標準をもとに、如何に持続的な市場創造・創出をリードしていくかが重要な役割だ。そして、この市場創造・創出による成長が、利用者、ベンダー、社会に享受される仕組みが確立出来るかが鍵だろう。

  そこで、企業にとっては、乱立するアライアンスの中から、参加すべきアライアンスを選択するには、持続的な市場創造・創出をリードしていく力を見極めることが重要だ。

  しかし、新技術、新市場の創出では、こいう力を実績ベースでは評価できないから、自ずと誰が参加しているのか、設立発起人が誰か、参加企業の戦略と自社の戦略との整合性などから判断する事が多い。この場合、単純にメンバーが多いとか、有名企業がメンバーにいる等で判断するわけだが、まぁ名前だけは並んでいるけど、結局数年後にはショポーンとなった団体も沢山ある。

  一方で、設立時の参加ではないのであれば、その組織のガバナンスや内部の意思決定プロセスなどを知る事で、その持続性に対する実力を評価できるのではないかと最近思って来た。特に、国際的な標準化に関係する電波関係などでは、これは明確かもしれない。

  そのアライアンスの組織構成、意思決定ルールなどが明確にあって、コンフォーマンステストや認定プログラムの策定について、しっかりとたルール作りがされているかや、公平性の担保がどうされているか、IPRはどうなっているか等は、結構重要な指標になる。

  日本の場合、国の委員会等でも意思決定ルールが不明瞭だし、そもそも採決なんてプロセスは、あまりとらないからこういう視点で組織の力を評価することは馴染まないけど、国際的な組織を評価する上では、企業評価と同じでガバナンスが重要な点となる。

  加えて、他のSDOとのリエゾン関係や参加メンバーのエキスパートとしてのスキルも重要な評価要素だろう。

  いま、仕事で採用しようとしている無線技術は、国際標準化された同じPHY/MACなのに、複数のアライアンスが異なる上位レイヤーに存在していて、混沌としている。今の段階では、そこそこのメジャーが、複数のアライアンスに並行して参加しているし、参加数の差も先に書いたように重要ではない。しかも、同じ下位層を使う以上、電波監理の観点からは、特定の方式に有意なことはなく、上位層のコンフォーマンスだけで市場に対する圧倒的な優位性を得ることはないだろう。

  こうなると、やはりそのアライアンスのガバナンスやコンフォーマンステストの策定、評価プロセスの実力がものを言うのではないだろう。

  この混沌としたなかで、どう淘汰されていくのかは、暫し注目したいところだ。


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