新進な家電メーカーとして注目されている会社が過去に販売していた4kディスプレイの駆動周波数がスペックと異なっていたことが発覚したというニュースが流れてきた。この会社は、以前にもスマートフォンで技適のミスがあった。
この会社の経営者を初めとして、商品企画をしている人達は、若い感性でとても面白い製品企画をしている。ところが、製品化を支える開発や品質管理などのスタッフに問題があるのではと思ってしまう。
これは、勝手な想像なんだけど、ここ数年「モノづくり」を標榜する若い企業が沢山でてきて、新しいビジネスシーンを開拓してるけれど、圧倒的に量産経験のある人が少ないのだろう。そんななか、大手家電メーカーで、民生品の開発に携わっていた人が、そういう企業に参画しているのだと思うのだが、果たしてその人達って本当に量産の経験がある人なんだろうかと疑っている。
かつて、いまの中国のように日本には自社ブランドの民生品メーカーだけでなく、OEM/ODM専業メーカーも沢山国内で製造をしていた。しかし、1985年のプラザ合意後の急激な円高などもあり、日本の民生家電製造業者が急速に海外に工場移転しはじめたのは、僕がテーブレコーダーやラジカセの開発をしていた頃だ。つまり、僕らの世代くらいまでは、自分の開発した製品を、工場で量産するまでを、しっかりと身近で見ていたし、生産移管するまのでは開発者の責任範囲として、QAなどに対する知験も当然求められていた。そして、その後に台湾、香港、中国へと製造拠点が展開されていくときも、その立ち上げなどで現場に足を運ぶ機会は多かったはずだ。
ところが、ディジタル化、モジュール化、ソフトウェア比率のアップなどとも合わせて、開発の作業範囲も分業化され、メーカーの開発にいても、製造現場を見る機会はどんどん少なくなっていた。
また、開発者も製品が複雑になるにつれて、一人一人の見る範囲が専業化されていき、製品一つを作る工程の多くを知らずとも良くなっていったのかもしれない。
こうなると、メーカーの開発に勤務していたと言っても、実は製品一つをリリースするまでに必要な仕事のうち、実務経験のあるは、とても限られた範囲という開発者も沢山いるのではないだろうか?
それでも、まったく製造業経験のない企画系な若者から見るとベテランな人に見えたりしてしまうので、いろんな意味で頼ってしまうのかもしれない。
メーカーの開発にいましたと言っても、本当にどういうことをどういう立場で行ったのかを確認するべきなのだろうが、メーカーの開発経験ない採用側の人には、確認する術がないのだろう。
あくまで、僕の推察でしかないけど、せっかくの若い企画力のあるモノづくり企業を、中途半場な自称ベテラン開発者が、ダメにしちゃってるとしたら、とても残念だと思ったニュースだった。