いま参加しているIEEE802.11WGという無線関係の標準を決める会合では、会議の意志決定に多くのルールが明確に存在する。 会議は一週間に渡り開催されるのだが、初日、中日、最終日に、いろいろな全体決議をする総会があり、他の時間は個別の作業グループで会議が進められる。
昨日のWNGという委員会で、無線LANを900MHzで使う標準の策定案が示された。 この標準化会合では、通常Study Groupというのを設置して、そこで標準の目的やその有用性などを示し、標準化作業を進めることを承認するための文章(PAR & 5C)を策定し、それが上部で承認されたらTaskGroupといものが設置され実際の標準化作業に入る。 しかし、ルール上は、いきなりPAR&5Cを示して、評決によりそれが承認されれば、Study Groupを設置しなくても、これを上部に申請することも出来る。
今回、この900MHzの提案について、いきなりPAR & 5Cが、WNGという委員会で示されて、これを全体会議で上部申請することの承認をとる動議を出すという動議が提案された。 この動議は、承認に必要な75%ぎりぎりで、WNGで可決され、本日全体会議で上部へ申請することの動議が評決されたが、ここで否決された。
これは、この文章自体の開示期間があまりに短く、参加者がレビューする時間も充分に与えず、前例に照らして特段の問題がないからという提案者の独走的な進め方が参加者の理解を得なかったためだろう。
こういう流れを見ていると、ここでは議事運営ルールやガバナンスが効いていることを実感する。 これは、参加者各人がそれなりに自分の票に対する責任を全うしていることの現れだろう。 とこぞの国では、国会も地方政治も、こういうシステム的な統制がないのが、とても対照的だ。