今週開催されているIEEE802WGのInterimでは、TVホワイトスペースに関するタスクグループが始った。 IEEE802では、タスクグループというのは、具体的な標準を策定する作業部会で、ここが基本的に標準の具体的な事柄を決めて行く。
今回は、一回目の会合で、チェアやバイスチェアの選挙からはじまり、大きな方向づけやFCCへの意見書の採択、今後の電話会議の予定などが決められている。
この会合では、日本のNICTが積極的に発言や発表をし、テクニカルセクレタリーにもNICTの人が選ばれた。 IEEEは、産業界での具体的な標準となるため、純粋な学術研究者よりも企業の研究者が多く、かつそのような企業がリードしないと市場で普及する標準にはならない。 そういう意味では、日本のNICTやETRIは、純粋にビジネスというよりは、技術的な情報の提供を中心として、標準策定に寄与するという立場で活躍している。 逆にいえば、結局のところこういう学術系が標準のドライビングフォースになることはなく、やはり企業の出現が望まれるのだが、日系企業のアクティビィティは無い。
さらに、驚いたことだが、NICTの看板で発言し積極的に活動しているのは、皆日本に来ている中国や韓国の研究者なのだ。 彼らは、NICTの客員だったり期間研究員だったりで、横須賀に勤務しているそうだ。 そして、802.15や11に大挙して参加するNICTご一行様のほとんどが、在日外国人の研究者なのだ。 昨夜、数少ない日本のNICTの職員に話を聞いたところ、戦略的にそのような人員登用をしているそうだ。 アメリカでも企業の参加者も、その多くは米国人というよりは、アジア系の研究者が多く活躍しているので、こういう人達が日本に根付いて広がってくれれば、結果的に日本の国際競争力の底上げになるのだろう。 しかし、彼らが、そんなに長い期間日本に居る保証はない。 そういう意味では、彼らばかりに頼るのではなく、やはり日本の企業や研究者がもっと、こういう場所で頑張って欲しいと思うところもある。
また、昨日テクニカルセクレタリーになったNICTの中国人の研究者に、ホワイトスペースについては,日本でも委員会が立ち上がったので、その辺りの情報をタスクグループにリエゾンするような連携はしないのかと聞いてみた。 彼は、こちらのタスクグループの日程は、かなりアグレシップであり、日本の状況はなにも見えないので、もし途中でなにか情報がはいったら考えるかもしれないが、いまのところは何も予定はないとのことだった。 おそらくは,彼らは日本の総務省とかとはあまりコミュニケーションするチャンスがないのかもしれない。
心の狭い短絡的な見方をすれば、日本は税金を使って、外国の研究者を育て、外国の標準化活動を支援しているが、日本の電波政策や産業界とは、まったく連携していないということになる。 大局的には、このようなことが将来の日本の技術や国際競争力の土壌を作ると期待もできるが、それにしては日本の企業や参加者が少なすぎることが、とても気になる。
また、このような状況を作り出した大きな要因は、語学とコミュニケーションスキルなのかもしれない。 もしそうだとしたら、また岩倉使節団みたいなのを、沢山洋行させないといけないのかもしれない。