今夜は、実に何年いや何十年ぶりに神宮球場でスワローズ戦(対ホークス)を観た。観たと言っても、実際は三回の攻防の1インニングだけで、ビールも飲まなかったけど、その雰囲気は味わえた。
たまたま、今日はパートナーが外野自由席のチケットをもらったので、行ってみるかということになった。僕は、高校時代にスワローズファンになって、あの1978年の初優勝のシーズンをファンとして楽しんだ世代だ。ちなみに1978年は、もし開幕戦でヒルトンがヒットを打たなかったら、村上春樹さんは小説家になっていなかったかもしれないし、4月4日のキャンディーズのファイナルカーニバルの観衆の声は、後楽園の巨人戦の歓声よりも凄かったというメモリアルイヤーだ。
今日、一緒に行ったパートナーは、阪神ファンで1985年のリーグ優勝を、この神宮のバックネット裏で観戦していた人だ。その時、僕はその姿を出張先のビジスネホテルの古びたテレビに映るプロ野球ニュースで、ちょっとムカッとしながら、でも少し羨ましいと思いながら観ていた。
そんなわけで、まぁ神宮球場にも、若かりし頃はそれなりに観戦に来ていたし、当時は私設応援団長の看板屋の岡田さんのリードで、ビニール傘を振っていたわけだ。
しかし、時が流れてスワローズの黄金時代も堪能したし、その後のまるで昔に戻ったような悲しい時代も耐えた。だから、昨シーズンに前年の最下位からのリーグ優勝というマジックがあっても踊らされず、会社が神宮球場のすぐ近くになっても、ホイホイと球場に足を向けるような事はせずにシニカルに心の中で応援だけしていた。
だから、本当に久しぶりに訪れた神宮の外野席では、完全に場違いな上に、今の選手の名前や応援のお作法も全くわからず、もう1イニングだけでお腹いっぱいになってしまったのだ。
しかし、去年子供のようにあしらわれたホークスに、接戦で良い試合をしていたし、観客も25,000人くらい入っていて、スワローズファンの方が多そうだし、なんとなく安心できる雰囲気は良かった。
それでも、歳のせいなのか、鳴り物付きの野球観戦が、どうも苦手になってしまったかもしれない。ふと考えると、数年前にアナハイムで11奪三振の快投をしたダルビュッシュを、キャッチャーの捕球の音まで聞こえるようなバックネット裏で観戦してから、あの緊張感の良さを期待してしまったのかもしれない。昔、荒木大輔や伊藤智仁が快投する投手戦を神宮で見た時の緊張感も良かったけど、大リーグの鳴り物のない観戦スタイルがもたらすものはやはり一味違うのだ。
まぁ、乱打戦と鳴り物応援というのも楽しいんだけど、どうしたって60年の某黄色のバックスクリーン3連発とか連想すると、ちょっと悔しいし...
というわけで、久しぶりの観戦は、まぁ1イニングで十分満足して、近くのイタリアンで食事。ここは、残念ながら昔の良さが無くっなってて店員の質が下がったねと話しをしていたら、案の定ワイングラスを倒されてしまった。食事が終わって、店を出たらみごにスワローズが逆転勝ちして、歓喜に浸る人たちが球場から駅に出てくるタイミングだった。