巷では、QualcommがAppleに対するチップ供給を拒んだので、iPhoneの5G搭載モデルのリリースが遅れているというニュースが流れている。また、毎日のようにHuaweiなどに対する米中のやりとりのニュースも多い。
いま参加しているIEEE802 Wireless Interimでは、これらの会社の人達が一緒に標準化作業を進めているのだが、当然その背景にはそれなりに熾烈な戦略的争いがあるわけだが、そのレベルには残念ながら日本の企業が絡めていないのが寂しい。
そんな中、今日の夕方はIEEE-SAの本部の連中と、夕方からテレカン。日本からもDTAの仲間が早朝にも関わらず参加してくれた。今日は、IEEE-SAが取り組んでいる新しい標準化プロセスについて紹介を受けた。これは、Adoption Conceptといって、IEEE-SAの外で策定された標準仕様を、IEEE-SAの標準として承認するというモデルだ。従来は、ゼロからIEEE-SAでのルールに従い、IEEE-SAの中で標準仕様を起草し、承認している。これに対して、このモデルでは、IEEE-SAの外の団体で標準仕様の策定の多くが行われ、それが後追い的に承認される形になる。実際に、FogComputingとかの仕様はこのモデルでIEEE1934とてしてリリースされているし、我が国のトロンOSがP2050としてIEEE標準になることも、昨年発表されている。
今や、国際標準化というのは、マーケット戦略としてとても重要で、標準化作業のフレームワークを提供しているSDO(Standard Development Organization)間の競争も激しくなっているので、こういう取り組みは標準化団体そのもののマーケティング戦略の現れだろう。
データ流通について、日本の政府関係者らからも頻繁に世界を意識し"国際標準化"という言葉が多く聞かれるのだが、正直言って実態が追いついていないケースも多いような気がする。実祭に、MoU を締結したというニュースの後が見えないものもある。
手前味噌だけど、データ流通推進協議会は、その設立発起人会の時の議論で、冠に"日本"をつけないことにした。これは、世界という舞台を意識して進めていくことの表れでもある。また、それ故に、日本の多くの団体と違い、意思決定ルールもそれなりに定めた運用をしている。
というわけで、今日のIEEE-SAとのミーティングは、戦略上とてもありがたい情報を得たことになる。担当のマネージャーとは、早速にメールのやりとりも進んで、いろいろと協力していけそうだ。