先頃、SBIとの経営統合を発表した、IRI(インターネット総合研究所)の創業10周年記念式典に出席した。 IIJが商用インターネット接続をスタートし、商業利用が徐々に増加していった黎明期に技術者集団として起業し、JPIXの運用を担い、日本のインターネットの発展を支えてきた彼らの十年は、まさにインターネットの十年だろう。 式典では、そんなIRIの十年の歴史がまとめられたビデオが上映された。 僕は、電子設計や組み込みソフトの開発をしていて、客先や基板設計外注などとデータのやり取りをするために、パソコン通信を使っていた。 正確にいつからかは忘れたが、1995年頃に外国とのやり取りをするのに、Niftyかインターネットとのメイル交換サービスを始めてくれたので、当初はNiftyの会員ID(GHxxxxみたいなやつ)@nifty.co.jp みたないメイルアカウントだった。 当時アメリカの相手方たちは、普通のメイルアドレスを使っていたので、アメリカ人の友達から"お前のメイルアドレスは、なんでそんな変な文字列なんだ?"と聞かれた事があった。 その後、GOLというプロバイダを利用するようになり、なんとなくそれらしくなった。 そして、1996年にroot-hq.comというドメインを取得して、自社にサーバーをおくようになったのだが、ちょうどその頃、IRIが創業したわけだ。 というわけで、僕はインターネットについては、最近はじめたニューカマーなんだけど、それでも10年もたってしまったのかと、再認識させられた。 僕にいろいろと、インターネットとは何かを教えてくれたのは、Junetの頃から、UUCPとかで、インターネットを創って来た人達で、彼らは常に自律分散網、End to Endということを強く意識している。 そんな懐かしい人達が、式典のあとのパーティには、沢山来ていて、懐かしい顔と名刺交換をしたりしていた。
いまや、ブロードバンドの普及により、インターネットは、本当に社会基盤となったし、多くのユーザーは、キャリアからフルサービスを受けてインターネットに接続しているので、もはやユーザーの視点では、インフラは自律分散網ではなく、キャリアに提供されるサービス網の色合いが強い。 これに対して、Web2.0などに代表されるサービスは、サービスのプラットホーム事態は、供給されるサービス網ではあるけれど、情報発信性という意味では、より自律性が高まってきたようにも思える。 技術的には階層分離ではなく、階層間のバインドが強くなり、自前で、メイル、WEB等のサーバーやDNSを運用する人は、少数派になっているが、逆にそういうことを知らない技術系じゃない人でも、一参加者としてインターネットに対等に情報発信を出来るようになったわけで、上位層のEnd to End原理は健在なわけだ。
これからの5年、10年インターネットが何処に向かうのかは、すこし技術レイヤーを離れて眺めてみたい気もする。