量販店に行くと、クリスマス商戦を前にiPodの販売フロアーが大賑わいだ。 本体はもちろんだが、iPodをソースにしたスピーカーやアンプの類から、ケースやストラップまで、実に広いフロアースペースがiPod関連商品に使われている。 かつて、ソニーがウォークマンを出した時には、このような光景はなかった。 ソニーのウォークマンは、Cカセットという標準化された技術だったため、すぐに他社が追従し、携帯型オーディオという市場が生まれ、その後CD、MD、MP3というように技術の変化はあるものの、一つの市場として、多くのプレイヤーが参加し、広がってきた。 これに対して、iPODをみていると、もともとそのプロトコルが独自なものであることと、iTMSというサービスとバンドルが強いことに加え、独特のデザイン感覚から、一つの独立した市場を創造した感が強い。 これは、アップルのマックが、パソコン市場のなかでも、やはり一つの文化圏を創造しているのと同じなわけで、モノの仕様や技術を開発、流行させるというものとは異なる。 実際に、いまやマックはi386なCPUで、BSDなOSとなったにも関わらず、WinTelなPCとは、一線を画している。 こういう、一つの文化圏を創造するという企業は、世界中でも、あまり類をみないのではないだろうか。 業績の低迷期も、今も、こういう企業文化を崩さずに全うしているのは、本当に尊敬に値するものだ。