エストニアの電子政府の視察研修の4日目。今日は、まずは統計局を訪問し、幹部自らが電子政府の持つデータから導出される各種統計データの利活用についてプレゼン。いままでは、とにかくデータの利用というよりは、電子政府のサービスの話しがメインだったのだが、ここでやっとデータの利活用的な話が出てきた。
このあと、シェアライド系の現地のユニコーンであるBoltを訪問したあと、タリン工科大学のイノベーションセンターへ。日本からの留学生が15人在籍しているとのことで、思ったより日本人がいるんだなぁと思った。
最後は、再びアカデミーに戻って、独立から今日に至るまでの歴史的な流れのレクチャーとアーキテクチャのレクチャ。これで、アカデミーの研修は、ひと通り終了。今回の目的は、電子政府の中での個人情報の扱いやスマートシティのサービスアーキテクチャの調査だったのだが、本当に良い意味で収穫の多いプログラムだった。
面白いのは、たくさんの政府関係のプレゼンテーションが統一されたデザインのスライドを使い、典型的な風景写真はもとより、フォントやロゴやアイコンも統一されていることだ。これらのリソースは、オープンに民間でも使えるとのことだ。そして、内容的にもハイライトすべき訴求ポイントや数字もブレがない。
結局のところ、この4日間で、15の電子政府系のプレゼンを受けたのだが、そのファンダメンタルな情報は重複している。逆にいえば、統一された基本的なデータやコンセプトという根幹については、繰り返し聞かされるのでとてもよく理解できる。その上で、内閣府、法務局、統計局、医療関係などの異なる視点での関わりなどが示されるので、各々のセクターでの細部も際立つ。
もっとも、本当にそのコンセプトも技術的な取り組みも、シンプルなので、常にそこを頭の隅に置いておける。こういうのは、まさにアーキテクチャなんだよねと感じる。
アカデミーでの全ての研修が終わったら、最後に修了書を用意してくれていたのが、やはり電子政府を国家として自信を持って進めていることの証だろう。
今回宿泊しているホテルは、ソビエト配下の時に外貨獲得のために建てられたものなのだが、そこにはKGBの拠点があって諜報活動や市民の監視が繰り広げられていたそうだ。というわけで、その歴史や見つかったスパイ道具などが、規模は小さいけど展示されていて、ガイド付きのツアーが行われている。というわけで、夕食前に研修参加者全員で、このツアーに参加。展示物自体は、あまり整理されていないけど、写真パネルをもとに歴史的な流れを説明してくれるのは、とても面白かった。しかし、まるで大昔の話しのようにおもうけど、1991年のソ連邦からの独立がつい最近のことだというのは、なんか実感が伴わない。
某省の知り合いが、たまたまタリンに来ていることが、今日の朝にわかったので、連絡をとりながら、夜に軽く情報交換。諜報活動しなくても、今は SNSであっさりと行動監視が出来てしまう。とりあえず、KGBのオフィスフロアから街中の写真を一枚。こんな事を当時したら、あっという間に逮捕されたのかもしれない。まぁ、逮捕されてもきっと西側からジェームスポンドが助けに来てくれのだろうけど、残念ながら今はボンドも他界されたてしまい、古のスパイの時代は遠くになりにけりだな。R.I.P.