今回の震災による福島原発の事故で、想定外の天災なので、事故も止むなしという事を言う人が沢山いる。 また、これに反論する人もいる。 しかし、この議論は、風が吹けば桶屋が儲かる的に、想定外の津波/地震ならば、全てが想定外であるというように感じる。 確かに、10mを越す津波というのは、想定外だったのかもしれない。 しかし、冷却システムが何らかの原因で,全てダウンすることは、想定外なのだろうか? あるいは、電源系統が同時に全てダウンすることは、想定外なのだろうか?
システム設計をするものにとって、フェールセーフやリダンダントというのは、常に重要な課題だ。 例えば、サーバーのバックアップは、レイドやミラーディスク、外部媒体に対するバックアップというレベルもあれば、サーバーの二重化もあるし、電源の二重化、離散したデーターセンターでの分散、など各レイヤーで、それぞれに何重にも冗長設計をする。 この想定は、こちらが駄目でも、こちらが的なわけで、その多重率によるシステムの複雑さの増加とカバー率で、システムの信頼性を評価し、システム設計しているわけだ。
原発にしても燃料格納容器から、圧力容器や圧力調整室等の遮蔽に関する多重化同様に、冷却システムも電源周りもフェールセーフなシステム設計があるだろうし、事故時の対応でも、現場の初動以外に、二次、三次の対応、リモートの対応、陸、海、空からのアクセスなど、いくつかのバックアップシナリオがあったのではないだうろか?
結果からは、ありとあらゆるものがNGという、最悪の展開なのかもしれないが、これらを十把一絡げに想定外の津波という言葉で片付けてはいけないと思う。
個々のシステムや、対応方式において、想定内なのに不具合で機能しなかったもの、本当にそもそも想定していない事象とを、きちんと精査していかないと、今後への教訓にはならないだろう。