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2016-05-10 日本のWi-Fiが危ない

_ [仕事][電波] 日本のWi-Fiが危ない

  2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人などの利便性も考慮して、Wi-Fi環境の整備を推進する政策が進められている。このことは、間違いなく望ましいことだが、その実態はかなりの危険性を感じずにはいられない。

  それは、何かというと、いま日本で闇雲に設置を進めている多くの公衆無線LAN基地局は、WEB認証という方式だ。これは、利用者の端末が公衆無線LANの基地局に接続すると、WEBブラウザを開いて、ログイン動作をするものだ。この方式は、初めての人でもWEBに書かれた説明を読んで、メールアドレスなどをいれれば、使えるようになるので一見便利だ。

  ところが、逆にLTEなどの携帯でサービスを受けている人や別なWi-Fiサービスを期待している人がWi-FiをOnにしていると、利用者の意思に関わらず公衆無線LAN基地局に接続され、いきなり認証用のページブラウザに表示されてしまったりする。

  そして、なによりも大きな問題は、この方式はセキュリティ的に大変脆弱であり、偽基地局によるフィッシングは、かなり簡単に実現してしまう。

  また、無線LANへの接続のたびに、WEBブラウザが開いて、一定のトラフィックが発生するので、駅やスタジアムなどの混雑している場所では、本来の利用者がつかう帯域が十分に確保されないという問題がある。

  実際に、数年前の時点でも東京の大きな駅構内などでは、全体の1/3近くが、接続や基地局検索のための通信で、その多くが実際には不要な通信だというのは、標準化を進めるIEEE802.11でも指摘されている。

  そこで、無線LANの標準化を進めるIEEE802.11や業界団体であるWi-Fi Alliance では、こられの問題を解決するためにHotSpot2.0や802.11aiなどの標準化を進めており、実際にHotSpot2.0などはスマートフォンなどへの実装も進んでいる。

  さらに、これらの取り組みとは別に、セキュリティを確保し、異なるサービスのアカウント間で、ローミング連携をする方式も、世界的に導入がされている。

  例えば、Eduroamという大学や学術研究機関間のローミング方式は、世界中の大学や研究機関で、日増しに利用可能な施設が増えており、僕も自分の所属する山梨大学のアカウントで、様々な場所で何もしなてくもWi-Fiに安全に接続されている。この方式は、プラウザを立ち上げる必要もないし、参加機関が各々の利用者のアカウントを個別に管理しているので、利用者はまったく手間いらずだ。

  このように世界的に多くの取り組みと実績が進んでいるにも関わらず、日本ではWEB認証方式というセキュリテイ上の脆弱性と、電波の無駄な使い方をする公衆無線LAN方式を、ひたすら増加させようとしている。

  もし、このままガラパゴス的に、このような世界の情勢や技術の動向に目を向けない、自己満足的な方式の公衆無線LAN基地局を数だけ追求して設置していくと、2020年には世界有数のWi-Fiが使いにくい、または使えない国になる可能性は大きい。

  というわけで、いま改めて公衆無線LANの整備に対する課題と提言を、事業者やベンダーの利益誘導とは切り離して、セキュリティや標準化等の専門家の意見を集約してとりまとめて、健全な公衆無線LANの普及へ寄与してはどうかと思う。

  そんなわけで、こんな提言取りまとめに興味のある人は、コンタクトくださいなと、この私的なプログにまずは書いてみた。


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