今週は、稲村公房さんの「「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか」と獅子文六の「食味歳時記」を読了した。この二冊は、まったく関係のない本だし、ジャンルも取り扱っている内容も異なる。
ところが、面白いことに僕はこの二冊から、地産地消こそが地域文化を育み、結果的にそれが日本の伝統的文化の源泉にあるという事を学んだ気がする。
前者は、元郵政省のトップ官僚であり、郵政公社常務理事を務められた稲村公房さんが共著者だ。稲村さんとは、僕が無線LANによる地域情報化を進める最初の実験のときに知り合い、その後の地域情報化への展開や公衆無線LANの第1種通信事業者であったMISなどで、大変お世話になった。MISのサービス名称であった「Genuine」は、稲村さんの発案だった。
この本の中では、郵便局の存在を中心に二極化と格差により崩壊されつつある地方経済の重要性を訴えられている。
一方、明治生まれで文学座の創設者でもある獅子文六さんの痛快な食味歳時記では、地方で食する地産地消の食の魅力が、独特の表現で喉から涎がでそうな臨場感で表現されている。そして、こういう食文化が、日本の文化の源泉であることを示唆している。
そんなわけで、たまたま今週読了した二冊に不思議な共通点を見出してしまったわけだ。
いたずらに、はしりを追求したりすことなく、自然の流れで食の旬と地物を楽しめるのが、とても贅沢な楽しみであり、そういう機会が失われないことを願う。