朝からソウルの客先に、機器を搬入してデモの準備をする。 通常に販売している製品に、顧客の要求に合わせ新しい機能を付加したため、日本でその実装と試験をし、それを送り込んだ。 とうぜん、日本での試験をしたものをそのまま持ち込んだので、荷物を解いて1時間もあればデモができるはずだった。 ところが、マーフィの法則によって、デモはうまく動かない。 諸々の変動要素を切り分けていき、原因を探り、日本で改版を加えたコードが反映されていないことが判明。 その原因を別な手法で回避すると、問題解決するので、原因の特定もできた。 午後から、もう一名の日本の研究者が合流し、改版したコードに差し替えて、無事にデモができた。
製品を開発した場合品質管理の基本は、人、モノ、場所を変えて、検査、試験をすることだと常々言っている。 今回の場合も、改版したモノをちゃんと別の場所で、一からシステムを組み立てて、動作させていれば、防げた事だが、したつもりになってしまったのか、その後になんらかの違うプロセスが介入したのか、結果的には無駄な時間を、相当に費やしたことになる。
デモの後の打合せで、諸々顧客の要求事項とのすり合わせをする。 この中で、リアルタイムなんていう言葉が出てくるのだが、リアルタイムの定義において、詳細なすり合わせというか意識合わせが必要だったりする。 そういう、不明瞭な用語の一つ一つをちゃんと聞き出しながら、要件定義が明確にできれば、システム提案や設計が正しくできるのだが、なんちゃってエンジニアだったり、SEだったりすると、ここがまず出来ない。 僕は若い頃GMワインバーグの本をよく読んだ。 彼の本は、1980年後半に、日本でも随分と翻訳されて出版されていたが、こういうシステム的思考学(工学じゃないよ)については、情報処理に限らず工学部などでもきちんと教えるべきだろう。